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日本酒はどこまでグローバルになれるか

ツーリズムと輸出の好循環で潜在市場を拓く

2015年5月14日(木)

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訪日客の日本酒のリピート意向はなぜ低い

 私たちが日常「日本酒」と呼んでいるものは、税法では「清酒」と定義されます。国税庁の「清酒製造業の概況」によると、清酒製造事業者数は1997年には2109社ありましたが2012年には1517社(28%減)となり、「酒類販売(消費)数量の推移」で清酒は1975年の167万5000kl(キロリットル)から、2010年は58万9000klと、ピーク時の約3分の1へ減少しました。国内市場は1980年代後半には低価格の焼酎に、90年代は発泡酒にその市場を奪われ、2000年代に入ると酒類販売市場そのものが縮小していきました。

 一方、輸出市場では、2014年の酒類の輸出総額は294億円で10年前の2.8倍となり、うち清酒は2.6倍となる115億円で酒類の中でトップとなっています。農林水産省では日本酒を含む「コメ・コメ加工品」の輸出額を2012年の130億円から2020年までに600億円にするとしています。しかし、日本酒のポテンシャルとはその程度のものなのでしょうか。

 毎年ロンドンで開催される世界最高峰のワイン・コンペティション「IWC(インターナショナル・ワインチャレンジ)」に2007年からSAKE部門が設けられ、世界での日本酒への関心は増しています。2013年にはユネスコ無形文化遺産に和食が登録され、日本食とともに日本酒の消費も拡大しています。

 観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2014年次報告)」で、「日本食を食べること」は訪日前の期待値で76.2%、満足度で87.6%と共に最も高い数値を示しました。また訪日前に期待していたことで「日本酒を飲むこと」は24.4%で、「旅館に宿泊」の25.2%と並ぶ数字を示しており、土産で「その他食料品・飲料・酒・たばこ」を購入した人は51.7%、日本滞在中に購入した商品で酒は56.1%の人から美味しいと評価されています。

 一方、今回したことと次回したいことを「日本酒を飲むこと」で比較したところ、「今回日本酒を飲んだ」38.8%に対し、「次回日本酒を飲みたい」は21.8%と17ポイントも低下します。これは何を意味するのでしょうか。

 現在、国として外国人に日本産酒類の魅力を知ってもらう需要喚起や販路開拓、事業者育成等の取り組みが経済産業省や観光庁、国税庁、ジェトロ、酒類総合研究所、日本酒造組合中央会などを中心に行われています。観光庁では有識者、酒造関係業界、観光・交通関係団体、地方自治体、政府機関、協力企業に呼びかけ「酒蔵ツーリズム協議会」を設置していますが、これらの取り組みは個々バラバラで強力なリーダーシップや事業間の戦略的連携も見られません。

 需要喚起の活動は国際会議や外交上のレセプションや会食でのPR、在外公館赴任予定者を対象にした研修や外国人を対象にした広報活動、日本食や日本文化の紹介と連動したイベントや国際空港でのキャンペーンなどに留まり、販路開拓の手法は海外見本市への出展や国内の商談会、海外でのバイヤーとのマッチングなどに限られます。

 ジェトロが2013年、7カ国を対象に行った「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査」で、日本料理は好きな外国料理でトップの83.8%を獲得。また「日本産清酒」を購入したことがある人は53%、飲んだことがある人は75.7%で、中でも中国では「購入経験あり」86%、「飲んだ経験あり」が91.5%と高くなりました。一方で、「日本産清酒」を「非常に高く評価する」は18.7%、「やや高く評価する」は62.4%となっており、前出のリピート意向の大幅なポイント低下と共通の課題がうかがえます。

 農林水産省によれば、各国を代表する酒の輸出額(2011年)はフランスのワイン7740億円、イギリスのスコッチ5150億円。世界のワイン消費量は約2400万kl。主要な消費国はEU、米国等で、近年は中国での消費量が上昇傾向にあるといいます。

 果たして日本酒はワインやウイスキーに並ぶ存在になれるのでしょうか。またそうなるためには何が必要なのでしょうか。

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「日本酒はどこまでグローバルになれるか」の著者

水津 陽子

水津 陽子(すいづ・ようこ)

合同会社フォーティR&C代表

経営コンサルタント。合同会社フォーティR&C代表。地域資源を活かした観光や地域ブランドづくり、地域活性化・まちづくりに関する講演、コンサルティング、調査研究、執筆等を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師