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「トップバリュ優先」から抜け出す

イオン九州・柴田社長が語る、総合スーパーのあるべき姿(後編)

2015年5月15日(金)

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 イオンが岐路に立っている。日経ビジネス本誌4月27日号の特集「イオン 挫折の核心~セブンも怯えるスーパーの終焉」では、イオン不振の真相と次に目指す成長の姿に迫った。日経ビジネスオンラインでは連動企画として、主に経営幹部のインタビューなどを連載してきた(「イオン、「トップバリュ」を4割弱削減へ」「イオン不振の原因は、コスト削減の常態化」「ダイエーは"イオン化"しない。お客さまの多様性に応える」「トップバリュ、安さ一辺倒から脱却する」「イオンの商品改革、半年先には成果出す」)。

 今回は、特に厳しい競争にさらされているイオン九州の柴田祐司社長が語る、インタビューの後編(前編:「イオン、"激安王国"九州での挑戦」)。柴田氏は、イオングループの総合スーパーの中でも堅調な業績を維持してきたイオン北海道の社長を経て、2014年5月にイオン九州の社長に就任した。改革の最前線で柴田社長が目指すのは、どのような総合スーパーの形なのか。

現場の意識は変わってきましたか。

イオン九州の柴田祐司社長(写真は青沼 修彦、以下同)

柴田:地元を大事にするという意識は変わってきたと思います。例えば、「地物の日」という取り組みはイオングループ全体でやっていましたが、私はその前に、「地元の商品をどれだけ置けるようになるかが店長の仕事です」と言いました。そしてやっと今、店長は地元の食品メーカーや地元酒蔵と付き合いを始めています。今までは「自分で考えるな」とやってきたのを、「自分で考えろ」という風に変えたわけです。

つまり現場は思考停止に陥っていた。

柴田:イオン本体から言われたら、言われたことをやっていればいいと思っていたのかもしれませんね。私はそれに対して、「九州なんだから、九州で考えようよ」と言い続けました。そして1年がたち、少しずつ変わってきています。現場が、「自分たちでやればできる」「自分たちで考えてことをやっていいんだ」と思えるようになってきています。そこは、大分変わったと思っています。

トップバリュを「売らんがため」の考えには賛同できない

今後はさらに地元の商品を増やすのでしょうか。しかしそうなると、トップバリュの比率が減るようにも感じます。

柴田:私自身は、いいトップバリュがあることはとても大切だと思っています。一方で、売らんがためという考え方には賛同できません。例えば先日発売されたトップバリュのギリシャヨーグルトは飛ぶように売れている。ああいった商品を作り続けることが大切でしょうね。

 また商品カテゴリーの中には、お客さまがあまりブランドを意識しない商品もあります。そういったところにトップバリュとNB(ナショナルブランド)があるのはいいと思います。けれど一方で、調味料などは絶対に違います。調味料などがトップバリュだけになるのは違うでしょう。

 私が九州に赴任して間もない頃、中通路のエンド(商品棚の端)に全てトップバリュが並べられていたことがありました。確かその日は「感謝デー」で、トップバリュが5%安くなる日なんですね。

 店頭を巡回していて、店長に「ここに立っていろ」と言いました。10分くらい立ってお客さまの動きを見ていたのだけれど、エンドでは誰も立ち止まらないわけです。エンドにはトップバリュの料理酒や油が置いてあったのですが、誰も足を止めようとしない。

 5%安い日なのに誰も立ち止まってくれないのでは、エンドの効率は悪いとしか言いようがありません。それで、通常の油のある棚に行くと、そこのトップバリュは減っているわけです。

 つまりお客さまは「トップバリュの油を買いに行こう」と思ったら、まずは普段通りの定番の棚に行く。だからエンドのトップバリュは動いていないわけです。そもそも油は昔かからありますから、それをエンドに積む必要はないんです。その代わり、定番の棚で品切れしないように売ることの方が大切になる。

 それがトップバリュにおいて大切なことでしょう。通常のトップバリュやより値ごろなベストプライス トップバリュというのは、普段の生活になくてはならないもので、切れていたら意味がない。ですからきちんと棚を確保しておく必要はありますが、半面、あえてこれ見よがしに積めばいいというものでもないんです。

トップバリュを置いておけば怒られない

それなのに、なぜトップバリュをエンドに積んでいたのでしょう。

柴田:トップバリュを置いておけば、エンドの陳列を変える必要がないでしょう。同時に、トップバリュを置いておけば怒られませんよね。誰が回っても、トップバリュを積んでいたら怒りませんでしたから。それで怒るのは私だけだったわけですからね。

 最近は岡田(元也・イオン社長)も、「トップバリュばかり積んで」と言うようになりました。けれど昔は、トップバリュさえ積んでいたら誰も怒らなかった。「トップバリュ比率を上げろ」とやっていますから、どんどんそうなりますよね。現場にとってもずっと積んでおけばいいのだからラクだったのでしょう。けれど一方で、お客さまにとってみれば、売り場が代わり映えしないのだから面白くはありません。現場は「売れないのはトップバリュが悪いんだ」となる。そういうものを少しずつ変えていったわけです。

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「「トップバリュ優先」から抜け出す」の著者

大竹 剛

大竹 剛(おおたけ・つよし)

日経ビジネス記者

2008年9月から2014年3月までロンドン支局特派員。2014年4月から東京に戻り、流通・サービス業を中心に取材中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネスクロスメディア編集長

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・運輸業界や小売業界などを担当。2017年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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