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日本の仏教は、釈迦の教えではない!?

ビジネスパーソンのための仏教入門(1)

2015年5月21日(木)

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 米アップル社の創設者、故スティーブ・ジョブズ氏が日本の「禅(ZEN)」に影響を受け、禅の精神がアップル製品の源泉となった話は有名だ。

 欧米や日本における禅ブームが一段落した今、新たな仏教のジャンルに世界の人々の注目が集まりつつある。それは「原始仏教」だ。

 原始仏教は今から2500年前、古代インドにおける釈迦の「出家」に始まる。この原始仏教の成り立ち、考えを学ぶことが、ビジネスをする上でも効果的だと唱える研究者がいる。

 「世界で最も長く続いた組織が仏教であり、そこから学び取れることはとても多い」――。

 原始仏教研究の第一人者である花園大学・佐々木閑教授がそのひとり。佐々木教授は、NHKのEテレで放送している人気番組「100分de名著」で「ブッダ最期のことば」などの解説者としても知られる。同番組のテキストは“ベストセラー”になっており、原始仏教についての関心の高さがうかがえる。

 原始仏教と日本仏教の根本的な違いから、日本仏教や寺院の衰退、日本人の死生観の変化、日本仏教の未来について、佐々木教授がビジネスパーソンに向けて解き明かす。

原始仏教を知る

佐々木先生は原始仏教の研究者でいらっしゃいます。仏教が2500年の長い歴史を経て、今なお残っている一方で、昨今では日本仏教の衰退が言われています。世界の仏教史を俯瞰しつつ、現代社会における仏教の役割などを語っていただきたいと思います。

佐々木閑氏(以下、佐々木):私は古代インドの仏教を理解し、それを物差しにすることで、社会や宗教の変容の様子を、ずっと調べてきました。その古代インドの仏教を語る上で、まずは何と言っても、元祖である「釈迦の仏教」を理解しておかねばなりません。「釈迦の時代に仏教がなぜ必要だったか」ということを知れば、なぜ、仏教が今も必要か、という質問の答えが自ずと出てくるからです。

2500年の時を経て、釈迦の教えが世界中に広まっています。

佐々木 閑(ささき・しずか)
1956年、福井県の浄土真宗の寺に生まれる。京都大学工学部工業化学科および同文学部哲学科仏教学専攻卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。米カリフォルニア大学バークレー校留学などを経て、現在、花園大学文学部仏教学科教授。2003年、鈴木学術財団特別賞受賞。NHKのEテレ「100分de名著」に出演、「ダンマパダ」「般若心経」「涅槃経」などについて解説。著書に『出家とはなにか』(大蔵出版)、『日々是修行 現代人のための仏教100話』(ちくま新書)など多数。(写真:杉本幸輔、以下同)

佐々木:インドでは仏教が生まれる前からバラモン教という宗教が存在していました。当時、インドでは、このバラモン教の教義に沿って厳しい身分差別制度であるカースト制度が社会の基本構造として定着していましたが、やがてこのバラモン教を受け入れない人々が、クシャトリア階級を中心に出現します。彼らは、従来のバラモン教が説く生き方では満足できないと主張し始めるのです。彼らは、当時の社会通念であったバラモン教の世界観に囚われていては、良い生き方ができないと考え、そしてその「社会」から飛び出します。そのような生き方を「出家」と呼ぶのです。

日本における出家の形とは少し違いますね。

佐々木:出家とは、決して「世を捨てること」ではないのです。その時代の常識的,俗世的な価値観から別の価値観へとジャンプしたいと願う人たちの行動が出家という形で現れるのです。ですから本来の出家は、必ず集団行動なのです。

 多くの人は、僧侶になるということは1人で孤独に出家するというイメージを持っているでしょうが、本来の出家とは、一般社会から離脱して特定の価値観で生きようと願う人たちが集まって別の組織をつくる、つまり、島社会の形成にあるのです。仏教の場合、その出家集団としての島社会をサンガと呼びます。日本語でいう「僧」という言葉は、このサンガを意味しています。

なるほど。

佐々木:そういった島社会の人たちは、皆が同じ価値観を共有しながら身を寄せ合って生きています。ところがその場合、大きな問題が1つ生じます。一般社会、つまり俗世間というものは、本質的に物質的繁栄や富の蓄積を目指しますから、生産効率の向上が必須の要件となります。つまり、より豊かになるために全力を挙げる世界なのです。

 しかし、そこから飛び出した島社会の人々は、物質的豊かさではない、また別の生き方を目指すのですから、その生産効率は一般社会より必ず低くなるのです。つまり島社会は、食べていくことが困難な社会なのです。独自の価値観を徹底的に追求しようとすればするほど生産性は低下し、極端な場合は、自分たちで生計を立てることが全く不可能な状態にまで至ります。仏道修行を目的とする仏教のサンガは、まさにそういう、生産能力ゼロの島社会なのです。

そうするとそういった島社会は、なんらかの方策で、食べていく道を探さねばならなくなりますね。

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「日本の仏教は、釈迦の教えではない!?」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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