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米中関係を地政学的に分析する

「地理的世界観」が全世界に影響

2015年6月3日(水)

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 世界で最も戦争の危険が高まっている地域を問われて、ウクライナや中印国境と並んで、南シナ海を挙げる専門家が多い。「南シナ海波高し」なのである。

 今回は、多くの日本人にとって関心の高い、米中関係の地政学的な関係について分析していく。

 現在の国際政治における米中関係の重要性は、世界のGDP(国内総生産)の1位と2位を占める経済力の大きい国同士の関係であることにとどまらない。世界の「覇権」を今後争っていく可能性が高い「大国」 (great powers)同士の関係であり、世界の政治の流れを決定するものである。

 米中両国の一部の知識人たちから「G2論」という楽観論が出たこともあった。世界秩序を米中の2大国が補完し合いながら管理していくという考えだ。しかし、中国が南シナ海の一部を埋め立てている一件が浮き彫りにしている通り、米中が協調して国際秩序を構築することは難しい。この海域を自国の領域であると主張する中国と、米国や領有権を主張する中小国との間で対立が深まっている。米国はいわゆる「航行の自由」を主張して中国に対抗している。領有権を主張するのはベトナムやフィリピンだ。

 米国は欧州正面にウクライナやギリシャの問題を抱えており、ロシアとの対決にも意を注がなければならない。だが、人口規模や経済力の視点から考えると、中国との覇権争いは米国にとって潜在的にはるかに大きな問題だ。

 つまり、米国と中国との関係を地政学的に分析することは、国際政治における大国同士の「システム」レベルの争いを分析することにつながる。そしてそれは取りも直さず、日本にとっても大きな影響を持つのである。

古典地政学者たちが抱いた中国観

 では古典的な地政学の専門家たちは、中国についてどのようなことを言っていたのだろうか? まずは本連載で取り上げてきた人物たちの代表的な文献から、彼らの「中国観」について見てみたい。

 まずはマハン(「『坂の上の雲』に登場するマハンが唱えたシーパワー」)。このシーパワー論者は、主著の 『海上権力史論』ではなく、その後に書いた一連の時事評論的な論文などの中で、人口の多さなどを基盤とした中国の潜在力に注目した。政治的に統一されて国力を増強すれば世界的な脅威になる、だから分断せよ(!)と論じている。

 マハンはある論文の中で、「中国は東側のバリアを突破すれば、西洋文明が支配しているハワイ諸島に深刻な問題を及ぼすことになる」と書いている。これ以降、米国がハワイを併合することの重要性を説くようになった。もちろん、中国に代わって日本が(第二次世界大戦前に一時的に?)ハワイの脅威となったことは、既にご存知の通りである。

 一方、マッキンダー(「地政学の父マッキンダー:欧州の成り立ちを地図と歴史で解く」)は、1904年に書いた最初の地政学的な論文の中で、「日本が主導する形で中国と組めば、西洋にとって世界的な脅威となる」と説いた。ただし、この論文では中国に大きく注目しておらず、最後の部分で「黄禍論」を少し唱えたくらいだ。

 ところが晩年の1943年に書いた最後の論文では、まるでBRICSの台頭を予測していたかのようなことを書いている。米英から開発資金を受けた中国がアジア太平洋地域の経済エンジンとなれば、将来的にはインドとともに経済発展し、西側(米ミズーリ川の東側からロシア中部のエニセイ川西側のいわゆる「西洋」)とのバランスが取れるようになるとしている。

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「米中関係を地政学的に分析する」の著者

奥山 真司

奥山 真司(おくやま・まさし)

地政学・戦略研究家

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学卒業。英国レディング大学大学院博士課程修了。戦略学博士(Ph.D)。国際地政学研究所上席研究員、青山学院大学非常勤講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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