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「土の中の宇宙」を見つけた男

「命を殺さない農業」を目指して

2015年6月5日(金)

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 1グラムの土には1兆もの微生物がいます。土の中には夜空の星のような世界があるんです――。土壌微生物の研究をしている横山和成の決めぜりふだ。微生物は作物の生育にどんな役割を果たしているのか。土の中の「夜空の星」とは何を指しているのか。

 横山は北大の大学院を出たあと、米コーネル大などで研究生活を送り、土壌について研究を重ねてきた。日本の食材をたくさん使う店を示す「緑提灯」の仕掛け人でもある。国の研究機関の農業・食品産業技術総合研究機構から今春、埼玉県の尚美学園大学に移った。

土壌微生物オリンピック@群馬

「土の中の微生物の数は予想の1000倍」と話す横山和成さん(榛東村役場で)

 その最初の本格的な仕事が、田畑の土の豊かさを競い合う「世界土壌微生物オリンピック」だ。今回は、群馬県榛東村で5月12日に開かれた記者会見の内容にそって、土の豊かさの意味と、その課題の難しさについて考えてみたい。

 「食べ物は命の源なのに、命を殺さないといけない農業って何なんだ」「こんなことをしないでも続けられる農業にしてほしい」。横山は、約25年前に農家に言われた言葉を紹介しながら、土の中の微生物を研究し始めた経緯をふり返った。

 「まるで命の皆殺しだ」と横山は言う。生産効率を高めるため、単一の作物を作り続け、連作障害で病原菌が発生して、作物が育たなくなる。これに対応するため、農薬を使って土壌を「消毒」し、病気を取り除く。その結果、土の中の微生物はほとんど一掃される。

 「土の豊かさとは何か」。会見で横山はそう問いかけた。尺度は3つある。1つは、窒素やリン酸など、植物の生育に必要な成分の過不足を示す「化学性」で、これは計測する手段がある。粘土質かどうかなどの「物理性」も同じ。だが残る「生物性」は難しい。「土の中に微生物がいることは分かるが、何がどれだけいるのかは分からない」からだ。

 ここで「土の中の宇宙」が登場する。記者会見場のスクリーンに映し出されたのは、濃紺のバックに浮かぶ無数の白い点。微生物のDNAを特殊な技術で染色し、撮影したものだ。「なんと、1グラムで1兆いる。だが、何をしているのかは分からない」。ちなみに、1つの微生物の名前を決めるのに必要な時間は「2カ月」。空をおおう宇宙のように、解明には気の遠くなるような時間がかかる。

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「「土の中の宇宙」を見つけた男」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト