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「こころ教」と「原理主義」の時代が来る?

ビジネスパーソンのための仏教入門(4)

2015年6月6日(土)

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これから日本の人口構造が高齢化を迎え、あるいは核家族化によって独居老人が増えていく。つまり、これから「相談相手」がいなくなる中で、日本の寺というのは今後、逆に優位に立つ可能性は十分にあるということですね。

佐々木:可能性はあります。

やり方次第では、ということでしょうか。

佐々木:そうだと思います。ただし、誰を相手に、何を語るか、その中身を僧侶がちゃんと持っていなくてはいけません。だって、普通の人が普通の人と話していたらただの井戸端会議ですからね。お坊さんという姿形だけで、中身がからっぽだったら、人に会う意味も価値もありません。

これが仏教界の最大のネックでしょう。

佐々木:悲しいかな、それが悩みの種ですよ。だから、僧侶は仏教をもっと学ばなくてはいけません。釈迦は、「仏教は学ぶものだ」と言っていますからね。

 現代の僧侶の多くが、なぜ仏教を真剣に学んでいないのかといえば、これは社会の価値観が変わってきているからです。例えば法然や親鸞の時代には、信者は皆、極楽浄土があるということを本気で信じていました。そして、阿弥陀様がおられるということはもう絶対に疑いようのないことだった。リンゴが地面に落ちるのと同じような意味で、それが「真実」でした。

 真実だと思うから初めて、そのことを一生懸命知りたいと思えるのです。今の若い僧侶が学ばないのはなぜかといえば、自分たちの属している宗派の教義が真実だと心の底では思っていないからです。

教義を疑っている人が、お坊さんになっているということですか?

佐々木:そうです。自分が疑ってかかっている対象を、まじめに勉強するはずがありません。

教義を信じることのできない僧侶たち

宗派の持っている教義そのものが間違っていると。

佐々木:間違っているというのではなく、時代に合っていない。「世の中の真実」は、時代によってその内容が変わってきます。鎌倉時代の浄土信仰の信者にとっては、極楽に阿弥陀様がいるというのは間違いのない「事実」でした。

 ところが今の我々の時代は、科学的な世界観が主流ですから、どうしても科学性のないものは信じられなくなっているのです。「信じられないから、本気で学ばない」。

 ですから、それぞれの教義について問われると、本気で信じていない僧侶は、「それは心の中の問題だ」と言いだすのです。例えば「本当は、阿弥陀様は私たちの心の中におられるのです」と言う僧侶がいます。極楽は西方にあるはずなのですが、「本当の極楽は私たちの心にあるのです」などとも言うんですね。

 科学とうまくすり合わせできないことを、「心の問題」に置き換えて解釈しようとするのは仏教だけに限りません。キリスト教、イスラム教も今、同じようなことを言いだしています。すべてのものを、心の中に落とし込んでいく手法です。

 私は、現在起こりつつある、こういった宗教の一元化を、「こころ教」と呼んでいます。私の造語ですけどね。これからの宗教は、「こころ教」へと向かいます。その証拠に今、どの宗教もキャッチフレーズが同じになっています。

 「こころ教」のキャッチフレーズにはキーワードがあります。それは「心」と「命」です。動詞では「生きる」です。この3つのキーワードで、どの宗教もキャッチフレーズを語るようになっています。例えばある仏教教団のキャッチフレーズは「今、いのちがあなたを生きている」です。一体、何を言っているのか分かる人がどれだけいますか?

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「「こころ教」と「原理主義」の時代が来る?」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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