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組織の存続にとって仏教は大いに役立つ

ビジネスパーソンのための仏教入門(5)

2015年6月13日(土)

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(前回の「「こころ教」と「原理主義」の時代が来る?」から読む)

インドで釈迦が仏教をおこして2500年が経つ。究極の持続可能な組織がまさに仏教であると言える。原始仏教の第一人者である花園大学・佐々木閑教授の仏教視座第5回目は、「生き残る組織」「ダメになる組織」。

理研がダメになった理由

今回は、仏教はビジネスに生かすことはできるのでしょうか。

佐々木:生かせるでしょうね。

例えば、どういうところにですか?

佐々木:まず、組織論です。ビジネスは1人でやることはあまりありませんね。ビジネスをする上では組織が必要です。その組織を、どう運営するかが問題です。組織を拡大し、シェアを広げて大きくすることが第一の目的というならば、仏教を使わずに、例えば孔子とか老子などの教えを学ぶ方がいいかもしれません。

佐々木 閑(ささき・しずか)氏
1956年、福井県の浄土真宗の寺に生まれる。京都大学工学部工業化学科および同文学部哲学科仏教学専攻卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。米カリフォルニア大学バークレー校留学などを経て、現在、花園大学文学部仏教学科教授。2003年、鈴木学術財団特別賞受賞。NHKのEテレ「100分de名著」に出演、「ダンマパダ」「般若心経」「涅槃経」などについて解説。著書に『出家とはなにか』(大蔵出版)、『日々是修行 現代人のための仏教100話』(ちくま新書)など多数。(写真:杉本幸輔、以下同)

 しかし、持続可能な組織を作りたいと考える場合には、仏教が大いに役に立ちます、それはサンガの理念です。サンガは2500年続いている組織です。世界で一番寿命の長い組織です。しかも、その組織運営のための「律」と呼ばれる規則は、2500年前に成立した時からずっと、使われてきているわけです。社会が変わっても、組織の基本的骨格が揺るがないという意味で、仏教は大変、柔軟で強靱な力を持っています。ですから、仏教サンガがなぜ生き残ってきたのか、なぜ今も変わらず存在し続けているのか、その理由を分析していくことが、組織を継続させる上で、非常に役に立つのです。

特に経営者は、仏教を学ぶことが大事だということですか。

佐々木:いえ、経営者だけでなく、社会の人たちが等しく知識を共有することが理想です。仏教サンガの理念は、会社組織に限らず、社会の様々な組織に有効なのです。

 仏教の組織運営法が役立つ代表的な例が、科学者の世界です。科学者の組織は、組織を拡大させることを第一義とはしません。科学研究が正しく行われ続けることを一番の目的にするのですから、仏教が良い手本になります。“小保方問題”を起こした理化学研究所などは、基本が全く理解できていませんね。

 科学者というのは、自分が好きで選んだ生き甲斐の道を追求するために、世俗の仕事をせず、研究に身をささげる人たちですから、その本質は出家です。科学者というのは一種の出家者なのです。

一見、相反するような存在ですが。

佐々木:成果が、たまたま役に立つことも多いものですから、「科学は社会にとって有益な活動だ」と思いがちですが、科学は本来、何の役にも立たないものです。

 科学の発展は、一生かけて真理を発見したいと願う出家的科学者によって最初の種がまかれ、それが受け継がれ応用されていくうちに、次第に社会に役立つ技術として実用化されていく、というプロセスの繰り返しです。ですから出家的な生き方が理解されない社会では、真の意味での科学の発展は起こり得ません。そこでは、単なる技術の改良だけが重視されるからです。

 例えばビッグバンの研究なんて、今の社会にとって何の役にも立たないですよ。しかしながら、そのビッグバンを研究している宇宙物理学者を一般の人が見ると「なんて素晴らしいことをしている人なんだ、格好いいなあ」と思う。さらにビッグバンの研究が、今は役に立たなくても100年後、200年後にひょっとしたら素晴らしい利益を我々に与えてくれるんじゃないかという、遠い先の果報も期待します。

 その期待感でビッグバンの研究者を支えるわけですよ。税金で。日本にまだこういう気風が残っているのは幸せなことです。しかしそれもだんだん危うくなってきています。

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「組織の存続にとって仏教は大いに役立つ」の著者

鵜飼 秀徳

鵜飼 秀徳(うかい・ひでのり)

日経おとなのOFF副編集長、浄土宗僧侶

京都市景観市民会議委員(2016年)、佛教文化学会会員。 1974年生まれ。成城大学文芸学部卒業後、報知新聞社へ入社。2005年日経BP社に入社。日経ビジネス記者などを歴任。2016年4月より日経おとなのOFF副編集長。浄土宗僧侶の顔も持つ。正覚寺副住職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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