ユーザーも喜んだ発想の転換
改革活動に従事するため、長崎工場から博多工場に異動した改革リーダーのS氏は、主力製品の30%コストダウンという目標のあまりの高さにとまどっていた。
「長崎では製造課長だったので、生産活動のすべてを理解していました。しかし、博多は業務用製品が主力だったので、生産工程が微妙に異なりました」。慣れない現場での初めての取り組みにとまどわない方が不思議である。さらに自分のいた工場でも想像できないほどの大幅で短期のコストダウンとなれば、普通は諦めが先に立つものではないか。
しかし、S氏の中では責任感と前向きな覚悟が不安を上回っていた。「改革リーダーに専任されたので、会社は本気でやり遂げようとしていることが分かりました」。そしてS氏の上司で、よき理解者になったのが、博多工場の製造部長のY氏だ。Y部長は、「一緒に頑張るから、何でも相談してくれ」と、S氏をあらゆる局面でサポートしてくれた。
こうした環境で果敢に改革活動を始めたS氏ではあったが、現状を簡単に調べただけで、またしても大きな壁にぶち当たってしまった。「ここでは生産現場としてやるべき合理化はきちんとやっている。これ以上何が減らせるというのか?」。生産現場のプロから見ても生産性の実態は十分なものであり、S氏を悩ませ続けた。
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