かつて、男性にとって、恋愛とセックスは「積極的」(ガンガンいく)か、「縁がない」(もてない)かの、大きく2つに分かれていました。
現在U35男子の中には、この2つのパターン以外に新しい人種が誕生しています。
それは恋愛やセックスに「縁がない」わけではないのに「積極的」ではない、「肉」欲に淡々とした「草食男子」です。
彼らのこうした淡々っぷりは、彼らと付き合う人、使う人に、自らの固定観念の根本的な転換を強います。上の世代には存在そのものが信じて貰えなかったりする難易度の高い男子、それが「草食男子」なのです。
据え膳を食わない「草食男子」。肉食系には理解しにくい
かつての男女関係は、告白→デート→手をつなぐ→キスをする、といったプロセスを経なければ、なかなかセックスへたどりつけませんでした。
さらにバブル期には、女性への、おしゃれな食事+素敵なプレゼント+高級なホテルなどが必要とされてきました。
男子にとって、恋愛やセックスは時間もお金もかかり、神経を使う特別なものだったのです。
1991年ごろの筆者(1967年生まれ。女性)の経験です。当時、アメリカから「セックスレス」という言葉が日本に入ってきました。
出版社の編集者になったばかりで20代前半だった筆者は、周囲にもそういった兆候を感じ始めていたので、「セックスレスな男たち」という単行本の企画を提出しました。(当時から、そういうテーマに興味があったのですね)。
ところが、出版社の企画会議にでていた役員の男性たちの年齢は、50〜60代、団塊とそれ以上の世代の方々ばかり。
この企画を提出したときに彼らが言ったのは、「セックスレスなんて本当にあるのか?」「あるわけないだろう」。
まだ「セクハラ」という言葉もあまり普及していなかったこともあり、「あなたの周りにはこんな男性ばかりなの?」「あなたは大丈夫なの?」などと、余計なお世話の心配までされました。
さらに「据え膳食わぬは男の恥といってね、こんなヤツは男ではない」と説教までされ、「こんなことが世の中にあると認めてはいけない」という理由で、企画は通りませんでした。
このように、ほんの15年ほど前には「肉食おじさん」にとって、「草食男子」(セックスレスな若い男)がこの世に存在するなどということは、考えることもできなかったわけです。
数字でも見える、「特別なモノ」ではなくなった理由
また、1991年に大ヒットしたトレンディードラマ「東京ラブストーリー」では、鈴木保奈美演じるヒロインの赤名リカが、織田裕二演じる永尾完治に「ねえ、カンチ、セックスしよう!」と誘った台詞が、大変話題になりました。
しかし今時、女子が男子を誘うことは珍しくもなんともありません。「セックスしよう」ではなく「エッチしよ♪」というでしょうが(今時の男子や女子からは「セックス」は死語になりつつあります)。
現在の男女関係がこのようにカジュアルになったのは、女性の性意識と性行動が大きく変わったことも1つの原因でしょう。
20年前、20代前半の未婚女性で、セックスの経験があるのは32%でしたが、現在は54%です。1.7倍にも増えたわけです。
ちなみに、20代前半の未婚男性の場合は、20年前には53%で、現在も58%と微増です。(以上、出生動向基本調査、1987年と2005年より)
男女のセックス経験はほぼ同じになってきたのです。
このように、女子の変化とともに、男子にとっても、恋愛やセックスは特別なものではなくなってきました。
そして、「草食男子」はそこそこもてるので、恋愛経験もセックス経験もあります。
女子からコクられたり(編注:「告白されたり」の略)、ただの女友達でも飲んだはずみでうっかりHしてしまったり(しかもそのあと気まずくならない)、元カノ(同:以前付き合っていた女性、もと彼女)と久しぶりに会えばこれまた深く考えずにHしたりするので、ちゃんとした彼女がいなくても、恋愛やセックスに困ってもいません。
「草食男子」が増えたもう1つの原因には、アダルトビデオやネットのアダルト情報があります。これが最近では大変充実していますから、性的な関心には、これである程度は対応できる、なんて考えているのです。
彼らは、リアルなアダルトサービスである風俗や水商売に対してさえ、さして関心はないくらいです。
そんな彼らのなかには、「雑魚寝男子」や「添い寝男子」もたくさんいます。
草食男子は、画策しない
かつては、合宿や飲み会などで、若い男女が雑魚寝すると、部屋の端っこのほうで、もぞもぞとなにかしようとしたり、している人たちがいたものです。
これに対して、今の「雑魚寝男子」にとって、雑魚寝は文字通りの「雑魚寝」。
男子と女子が隣同士で寝て、肩を貸したり腕まくらをしても、そのまま2人でなにもなく眠る。「オマエも疲れてるだろ。寝ろよ」「うん、おやすみ♪」といった感じです。
あるいは、体調を崩していたり、失恋などで精神的に弱っている女子のもとへ、「今日オレ添い寝しにいってやろうか?」と現れる「添い寝男子」。
かつては、そんなことを言ったって、男子が女子の家に来れば、なにかしようと画策したのが当たり前でした。
しかし「添い寝男子」は本気で「添い寝」します。そして、夜が明ければ「じゃあな、また具合が悪くなれば呼べよ〜」と涼しい顔で去っていきます。
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