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日本IBM専務・内永ゆか子の「わたしのビジネススタイル」
第2回「会議で言うべきこと、部下とのつき合い方」

なぜ女性は「キツい」と言われてしまうのか

  • 武位 教子

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2007年1月9日(火)

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※本稿は、2006年10月21日に開催した「NBonline Working Women's Forum2006」において、日本IBM取締役専務執行役員内永ゆか子さんの基調講演「ダイバーシティーの重要性と女性の活躍に向けて」をまとめたものです。


第1回から読む

日本IBM取締役専務執行役員 内永ゆか子さん (写真:鈴木愛子)
日本IBM取締役専務執行役員 内永ゆか子さん (写真:鈴木愛子)

 私が管理職になって経験した“Good Old Boys’Network”について、もう1つの例をお話しましょう。

 例えば、会議の席でのことです。私はそれまで、会議とは自分の意見をはっきり言うものだと思っていました。一生懸命調査し、勉強したうえで臨むわけです。しかし、せっかくいろいろ調べて案を出したのに、最後には何が決まったか分からないような会議も、中にはありました。

 ある会議の席で私は挙手して、それを指摘しました。すると皆一斉に、嫌な顔をするのです。会議の後で私はある上司に呼び止められ、こう言われました。「内永さん、今日の会議は、そういうことを言うために集まったんじゃないんだ。お互いの挨拶のようなものだから、(何も決まらなくても)いいんだよ」

 こうしたことをほかの男性は皆納得ずくで、疑問を挟まないのですね。私は、「それなら、最初にそう言ってもらわないと」と思いましたが、(こういうGood Old Boys’Networkの慣習を)だんだんに学んでいくのですね。

 またある会議で私は、反対意見を言ったことがあります。会議に出た以上は貢献しなければ、と思っていたからです。しかし私がパッと手を挙げると、周りの人は皆、「また内永さんが手を挙げた」と気を悪くした顔をしている。

 その時私は、「私はAさんの意見に反対です。なぜなら…」と論旨も明確に、三段論法を使って説明しました。すると皆、しらーっとしている。内心私は、こう思いました。「もしかしたら、私が女性だから?」

 しかし、ほかの男性の発言をよく聞いてみると、皆はっきり反対意見を言わないのですね。例えばAさんに対しては、まず笑顔で「Aさん、あなたの意見は素晴らしい」と言うのです。その後で「ただ、もっとこういう点があるといいと思いますよ」と付け加えるのです。ここまで聞くと、「なんだ、結局はAさんに反対しているじゃない」と気がつく。

 そこで私も、やっと分かりました。(自分の意見を言う前には)「枕詞」をつければいいんだ、と。私はそれまで、枕詞をつけるのは時間がもったいないと思っていましたが、円滑に物事を進めるためには、こういうことも必要だったのですね。

 こうして私もだんだん、(Good Old Boys’Networkには)いろいろな約束事があると気づいたのです。働く女性はこういう暗黙のルールを教えられてきていませんから、一生懸命に仕事をすると「喋りすぎる」「キツい」と言われてしまうのです。

 最近、企業で講演させていただく機会が増えました。ある講演の後に企業の方とお話していると、その方がこうおっしゃるのです。「今、うちにとても優秀な女性がいるんですよ」と。そこで私が「そうですか。ぜひ、彼女をもっと重用してください」と言うと、そこにいる男性皆が、顔を見合わせて笑うんです。「いやぁ、申し上げにくいけど、彼女は一言多いんですよね。超キツくて…」と。

 これはどういうことか。(仕事で)言わなければならないことがあったとしても、男性同士の場合はその6割も言わない。「言わないけど、分かってるよね」「察して、阿吽の呼吸でやってほしい」という前提があるんです。これが、Good Old Boys’Network独特のカルチャーなんですね。女性はこれが分かっていないので、男性が言わないでいる残り4割のことまで言ってしまい、「一言多い」と言われてしまう。

 女性はつい「自分が、自分が」と頑張ってしまいますから、ネットワークを作るのが下手で、視野が狭くなります。私も一生懸命やろうと努力しましたが、1人でできることは限られている。支えてくれるのは人であり、ネットワークですから。仕事というのは、実は様々なものを他の人から借りたり、または貸したりして、お互い「持ちつ持たれつ」で成り立っているのです。

 しかし女性たちは、こういった仕事上のノウハウやコツを、教えてもらっていないのです。男性たちは、どこで教えてもらっているのか。それは、時々一緒に飲みに行ったりして、「あの人はあの時こう言ったが、課長の対応はまずいよね」と教えてもらったり、やってはいけないことをして失敗したりすると、「おまえ、そういうことしちゃだめだよ」とフォローしてくれる。男性はこうして、(組織の中で)“教育のコースにはない教育”を受けることができるんです。

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