「リーダーの鉄則」

銀行の営業課長です:「毎月毎月の目標管理と新規開拓で部下たちが疲弊してます」

  • 松丘 啓司

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2007年5月9日(水)

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 私は銀行の支店で営業課長の職に就いています。当行では中小企業向け融資の拡大に力を入れていますが、当支店が優良な中小企業の密集するエリアにあることから、本部より重点支店として位置づけられ、毎期、非常に高い獲得目標が設定されています。また、このようなエリアであるため、競合他行もひしめき合っていて、いわば激戦区の状態になっています。

 当支店では本部から与えられた目標を営業担当者ごとに割り振り、毎月の実績管理を徹底しています。それぞれの営業担当者は100社を超える担当顧客に対して、目標達成に向けた活動を行っています。しかし、ここのところ毎月の支店目標が達成されたことはほとんどありません。


 内容を見ると、特に新規顧客の開拓が進んでいません。新規開拓すべき重点顧客は分かっているのですが、毎月の目標管理が厳しいため、どうしても既存の取引先で数字を作ることを優先してしまい、時間のかかる新規開拓が後回しになってしまうのだと思います


 今のままの状態では、同じことの繰り返しで、いつまで経っても目標達成はできません。営業担当者も達成感が得られないため、相当、疲弊してきています。かといって、毎月の目標管理を緩めたら、行内における支店の成績順位が下がってしまうことを懸念しています。


 このようなジレンマに苦しんでいますが、何かよい打開策はないでしょうか?


 リスクを取らない限り、大きなリターンは望めません。時間を投資と考え、投資対効果が最大になるような時間の使い方をすべきです。


リスクを取らなければリターンは小さい

 銀行ではお客様に運用商品を進める際、リスクとリターン(収益)のバランスを考えるようにアドバイスをしていると思いますが、営業にも同じ理屈が当てはまります。銀行のお客様が手持ちの資金をすべて定期預金で運用していたとすると、リスクはありませんが、運用益は微々たるものです。

 逆にすべての資金を株式で運用していると、大きなリターンが得られる可能性もありますが、リスクが大きすぎるので資金を分散するようにアドバイスをすることでしょう。おそらく投資信託や国債なども含めて、適度なリスクを取った運用商品のポートフォリオをお客様に提案しているはずです。営業も同じように考えるべきなのです。

 資金運用の場合は、資金を運用商品に投資しています。これを営業に当てはめると、投資しているのは営業担当者の時間です。営業の場合、時間こそが収益を生み出す唯一の原資なのです。この原資を何に対して投資しているかというと、それは顧客です。つまり、営業とは時間を顧客に対して投資する活動と言うこともできます。

 営業担当者の時間は言うまでもなく有限です。どんなに一生懸命に仕事をしたとしても営業担当者の時間は増えることはありません。質問者の支店で行われているように、目標管理を厳しく行ったとしても、営業担当者の時間は増えないのです。おそらく、質問者の支店の営業担当者は、金融商品で言うなら定期預金や国債のように、リスクは小さい(獲得できる可能性が高い)が、リターンも大きくはない顧客に時間を使っている可能性があります。

 例えば、100万円の資金を持っていたとして、金利が1パーセントの国債に投資をしたとすると、1年間で得られる利子は1万円です。もし、100万円を10個の口座に分け、10万円ずつ国債に投資したとしても、全体として得られる利子は変わりません。営業でも同じように、獲得しやすい顧客から契約をたくさん集めても、細かな契約が積み上がるだけでトータルの収益はさほど増えないのです。

時間配分のポートフォリオを作る

 質問者の支店では、営業担当者の時間の使い方を見直し、獲得は簡単でなくても成功した暁には大きなリターンが見込まれる顧客にも、一定の時間を配分する必要があります。金融商品のポートフォリオを組むように、営業担当者の時間配分のポートフォリオを組み立てるのです。具体的には、次のような作業を行います。

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