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イヤな上司を排除するのにも使える
「不幸」な制度

職場の雰囲気を乱す「360度評価」の危険性

  • 野々村 人事部長,永禮 弘之,瀬川 明秀

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2007年6月18日(月)

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 そろそろ「夏のボーナス」の季節。人事評価の担当者にとっては、春の昇給、夏の賞与の査定と続いたお仕事も一段落する頃であろう。

 評価をいかに公正で納得できるものにするかは人事の永遠の課題である。評価者訓練に地道に取り組んでいる企業もあるが、上司が部下一人ひとりの評価のために集められる情報は限られているのも事実だ。

 そこで、注目されているのが、上司、部下、同僚による評価を組み合わせる360度評価である。立場や観点の異なった人たちから多面的に判断材料を集めるため、「360度」評価と呼ばれている。

 多くの企業が「360度評価」を導入した背景には、組織のフラット化が進み、上司が以前より多くの部下を抱えるようになったことがある。上司は、通常の業務に加えて、報告や承認、他部門との調整といった仕事が増えている。そのため、部下一人ひとりの行動や能力を観察する時間が少なくなってしまった。

 また、成果主義の導入にともない、上司は部下の評価に差をつけなければならない。優秀な部下や問題児は、目立つので評価しやすい。一方、それ以外の大多数の部下は、評価に差をつけるのが難しい。そのため、部下や同僚など、日頃の仕事ぶりをよく知っている人たちの「目」を借りようというのがこの制度の狙いだ。この評価の利点は、上司だけの視点ではなく、より多くの人から判断材料を集めることで、より公正な評価ができると言われている。

 だが、この公正であるはずの評価手法が個人と組織に悪い影響を与え、それに振り回される企業も出ている。今回は360度評価が個人や組織に与える影響と、その効果的な活用について考えたい。

誰もが抵抗を感じている?

 野々村さんは流通小売・マルコーの人事部長である。彼が事務局長を務める「組織風土改革プロジェクト」の直近の仕事は、管理職対象の公正な評価制度の導入だ。

社長

社長

 マルコーでも成果主義導入が引き金となり、業務の忙しさも相まって、職場の雰囲気がぎすぎすし始めている。とりわけ、管理職のマネジメントに対する部下たちの不満が、野々村さんの耳にも入ってくる。社長の大黒氏からは、管理職のマネジメントの実態をきちんとつかみ、それを評価に反映させてほしいと言われている。そこで、管理職にマネジメント能力を高める意識を持ってもらうため、360度評価の導入を検討しているところだ。

 今日もプロジェクトメンバーが集まり、導入に向けた課題を話し合っている。今日のテーマは、「どうすれば、管理職と部下の双方に、360度評価を前向きにとらえてもらえるか」だ。

 南関東地域本部長が、本部や店舗の管理職たちから意見を集めてきた。管理職の大半は、360度評価に抵抗を感じているようだ。「やっぱりな」という空気がその場に流れた。「経験の浅い部下に正しい評価ができるのか」「部下や同僚から、個人的な好き嫌いで評価されても困る」というのが代表的な声だ。

 「普段指導している部下から逆に評価されるのは、誰でも抵抗感があるんじゃないですか。自分に対する痛烈な批判や中傷が出やしないかと、びくびくする人もいると思いますよ」と、管理職に同情するメンバーもいる。

 労働組合の委員長が聞いた話では、部下たちも同じく否定的らしい。先月の職場集会で、「評価は匿名らしいが、実際にはだれが評価したのか分かってしまうので、本音を言いづらい」という意見が多数出た。「評価結果がよくないと、上司の気持ちに部下に対する不信が生まれて、職場の雰囲気が悪くなるのではないか」という声もあったようだ。

職場全体の士気が下がる?

 堰を切ったように、メンバーたちが懸念を言い始めた。「複数の人が評価するとなると、評価シートがかなりの分量になって、現場も人事も作業量がかなり増えるんじゃないですか」「上司に対する説明はきめ細かくやらないと、納得しないだろう」「これだけ手間をかけて、当人も職場全体も士気が下がるのなら、組織風土改革につながらないですよね…」

 そこら中でため息が漏れた。

 野々村さんは、本来の趣旨をメンバーたちに確かめた。「上司だけが評価するより、普段一緒に仕事をしている部下や同僚の意見も聞いた方が、評価の妥当性も納得性も高くならないかな。要はやり方を工夫すればいいのではないだろうか」

 果たして、野々村さんに打開策はあるのか? まずは問題点を整理しよう。

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