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「社内資格が評価されなくなっていく」

  • 野々村 人事部長,永禮 弘之,瀬川 明秀

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2007年6月25日(月)

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 梅雨は一年でも最も憂鬱な季節。だが、部屋で閑かに読書や勉強するには意外といい時期か。今回のテーマは、「社内資格制度」について。

 「社内資格制度」とは、企業独自で試験や面接などを実施し、社員のスキルの水準を見極め、資格認定する仕組み。業種を問わず多くの企業が、社員のスキルやモチベーションの向上、顧客サービスの改善のために導入している。

 IT(情報技術)ソフト開発のエンジニアや製薬会社のMR(Medical Representativeの略で、医薬情報担当者)は、絶えず最新の技術や商品知識を習得することが求められる。こういう業界では、国家資格、公的資格、ベンダー資格、社内資格などを組み合わせて、キャリアアップの仕組みにしている。

 社員は、資格を持っていると、自分のスキルの高さを証明できる。資格を取るもう1つのメリットは、資格手当などの金銭的報酬。福利厚生的な「諸手当」は廃止される傾向にあるが、社員が資格を取得すれば、資格手当を支払う企業は多い。お金目当ての資格取得は本来の趣旨から外れるが、学習の動機付けになっているのは事実だ。

 経営者や人事部門にとっては、社員の目標を明確にすることでモチベーションを高めることができる。くわえて、社員1人ひとりのスキルの高さを把握できる。また、顧客にとっては、サービスに対する信頼や安心の証になる。

 企業の人事部長たちを取材して生まれたのが「野々村人事部長」。野々村さんが勤める中堅流通チェーンのマルコーでも、販売管理に関する「セールスチューター」という資格があり、これを取っていないとお店のフロア長になれないらしい。またお総菜調理ができる「クッキングチューター」という資格もある。現在、お総菜を調理しているのは、パートやアルバイトなのだが、かつて食品フロアの正社員もお総菜を調理していたため、今でも正社員は資格を取ることを義務づけられている。

 ここ数年、毎年見直しの対象になりながら、何となく続いている社内資格制度をどうするかは、マルコーで課題になっている。明日も部内会議で話し合う予定だ。

社内資格よりも公的な資格を勉強したい

野々村人事部長

野々村人事部長

 「新人の小宮山さんが先月書いた報告書に気になるコメントがあります」
部内会議の前に、野々村さんは部下の人事担当者から声をかけられた。
「なんだ、弱音でも吐いているか?」
「いえ、そうではないんですが・・・」

 マルコーでは本配属の前の店舗実習で、各売り場を一定期間経験させる。この期間内に社内資格を取ることが義務づけられている。どうもこの社内資格取得のことで、新人の小宮山さんと育成担当者がもめたらしい。

 小宮山さんは、「仕事と関係のない資格を取ることに意味があるのか」と、言い張っているようだ。「どうせ時間をかけるなら、販売士(小売・流通業界唯一の販売技術を証明する公的資格)を取るための勉強をしたい」と、訴えているらしい

 育成担当者は、「社内資格として全員が取得することがルールなのに、彼女だけを特別扱いできない」と、彼女を説得しようとしているようだ。

 「新人の指摘ももっともだな」と、野々村さんは心の中でつぶやいた。資格の取得状況が店舗別に集計されるため、各店舗では新人に機械的に取らしているのが実態なのだ。

 「そもそもウチの会社の社内資格は本当に機能しているのか?」
 4半期に一度、資格取得状況がとりまとめられ、部門長に報告する。年末には、取得率が最も高い部門に社長賞が送られる。各店舗は、汲々とし、社員にはっぱをかけているに違いない。

「役割も考えずに一律に取得させることに意味があるのか」

 野々村さんもこの「社内資格」という制度ついて内心疑問を抱いていた。一度、問題を整理しておかなければ、そう考えた。

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