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「なぜ若者は小泉首相が好きだったのか?」

(ちょっとだけ)帰ってきたU35マーケティング図鑑【その2】

  • 深澤 真紀

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2007年6月28日(木)

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平成男子図鑑 ~リスペクト男子としらふ男子

 日経ビジネスオンライン連載中に賛否両論を巻き起こし、「日経らしからぬ(一応申し上げますと、弊社は日本経済新聞社とは別の会社です)」と、お褒めとお叱りを頂いた「U35男子マーケティング図鑑」が、大幅な加筆と再構成を加え、よりパワーアップして書籍になって帰ってきました。その名も『平成男子図鑑 ~リスペクト男子としらふ男子 >』。

 本書の出版を記念して、著者の深澤真紀氏がぜひ会ってみたいと企画したのは、若者を扱った話題の新書『若者はなぜ3年で辞めるのか? ~年功序列が奪う日本の未来』『搾取される若者たち ~バイク便ライダーは見た!』の筆者、城繁幸氏、阿部真大氏との鼎談だった! どうやら、書籍には書ききれなかった、U35(アンダー35)の男子世代への思いを、彼らとぶつけ合いたいらしい。お2人から快諾を頂き、話が始まるやいなや、バブル世代への怒りでいきなり噛み合った3人の大暴走が始まった。異論・反論、もちろん賛同のご意見も、コメントとトラックバックでお待ちしております!(NBオンライン編集 山中)

その1から読む

深澤 前回で阿部さんは、男子世代は、正社員になれない、なってもすでに日本型の人事制度が崩壊していることへの「諦め」があるとおっしゃってました。もう上の世代にもあまり怒りを感じないですか。

正社員は手近な「既得権益層」

阿部 いえ、怒ってますよ。それに(若者叩きへの反撃である)バッシング・バッシングも続けるつもりです。

阿部真大(あべ・まさひろ)氏
阿部真大(あべ・まさひろ)
搾取される若者たち ~バイク便ライダーは見た!

1976年岐阜県岐阜市生まれ。東京大学大学院博士課程を経て現在、学習院大学非常勤講師(社会統計学)。2006年に自らのバイク便ライダー体験をもとに執筆した『搾取される若者たち』(集英社新書)でデビュー。2007年にはケアワーカーの労働実態をまとめた『働きすぎる若者たち』(NHK生活人新書)を刊行。現在調査中の配管工の世界を描いた『管の都市』(仮題)と併せて「労働3部作」を予定している。他に、「合コンの社会学」(北村文との共著)を「本が好き!」(光文社)で連載中。

 ネットでは正社員になれずに非正社員として滞留している若い人たちが「吹き上がって」(編集部注:ネットの掲示板やブログなどで怒りのコメントが大量に付き、盛り上がる状態)います。そのバッシングの対象は既得権益層なんです。

 手近な既得権益層は正社員だから、「正社員になれなかったから結婚できない」「正社員になれなかったから親と同じライフスタイルを築けない」、だからネット上では「いっそ、戦争でも起こしてしまえ」と発言する若者が出てきている。

 城さんの本でも「全部ガラガラポンにしよう」と書かれてますが、しかし、黙っていても革命は起きないだろう。ならば戦争だ、というロジックです。

 今は昭和的価値観に基づいてつくられた日本型福祉社会があります。上の層はステイタスをキープしています、下の層だけ流動化しています。問題はその併存ですから、全部流動化させましょうと。

 問題は、既得権益層ではないどこに目を向けるか、どこに希望を持つかですよね。

深澤 どこに希望を持つべきでしょう。

阿部 個人でしっかり生きろという、そういうことですね。

 たとえば、中田英寿。僕は彼のマインドがよく分かるんです。目上にもタメ口で、旧来のシステムを完全にバカにしている。あのスタンスは非常に分かりやすいですね。

 ただ、上をバカにして、見ないようにしたからといって、既得権益層はなくならない。そして上の層は決して自分の権利を手放そうとせず、革命に抵抗するわけです。それで、下の世代だけ流動化させられる。

 既得権益層は安定した今の状況を、手放したくないでしょうね。

阿部 下の世代にも実は、既得権益層への憧れがどうしようもなくある。社会の一部には、正社員というだけですごく光り輝いて見える人も実際にいて。彼らは「ああなりたいのになれない」というルサンチマンをずっと抱え込んでいます。

 みんなが新しい目標や生き方を見つけられればいいですが、なかなかそうもいかない。しかし、既得権益者みたいに、上の世代みたいになりたいという方向で議論を進めていくのは危険です。自分なりの希望を探さないと。

多様性の時代はやってくるか?

城 繁幸(じょう・しげゆき)氏
城 繁幸(じょう・しげゆき)
若者はなぜ3年で辞めるのか? ~年功序列が奪う日本の未来

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年山口県生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。以後同社人事部門にて、新人事制度導入直後からその運営に携わる。2004年、同社退社後に出版した『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社ペーパーバックス)では、成果主義のさまざまな問題点を指摘し、大ベストセラーとなる。翌年上梓の『日本型「成果主義」の可能性』(東洋経済新報社)では、日本企業がいかに成果主義とつき合うべきかを取り上げ、実践書として高い評価を得る。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見をメディアにて発信し続けている。近著『若者はなぜ3年で辞めるのか?』(光文社新書)は40万部を超える大ベストセラーに

深澤 城さんは「Webちくま」で連載している「アウトサイダーズ」の中で、「平成的価値観」という言葉を使って、その希望を模索していらっしゃいます。

 昭和的価値観を否定するわけじゃなくて、今後、平成の新しい価値観を見つけていこうと書かれていますね。

 平成的価値観というのは、ひと言で言うと「多様性」なんです。

 昭和的価値観も含めて、それぞれがいろいろな価値観を持っていいという。それぞれの価値観をしっかり持って生きてる人を、便宜上「アウトサイダーズ」と言っているので、僕はみんながアウトサイダーという社会がいいと思うんです。

深澤 多様性を持つことも、大変かもしれないですね。既成の価値観を持ちつつ、ちょっと差別化していくくらいならできそうですが。

 別に、偉人レベルの価値観を持てということではなく、発想の転換レベルで十分で、たとえば典型的な昭和的価値観──新卒で大企業に入って定年まで勤める。男は仕事、女は家庭──これを捨てるだけでもかなり楽になる。

阿部 その通り。

 大企業で30代で窓際だったら、一生平社員は決まりです。そこで割り切れない人は壊れちゃうけれど、割り切って人生の軸足を別に移せば、それで幸せなんじゃないかと思うんです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長