日本企業の8割は成果主義を導入済み
7月は大半の企業が「夏のボーナス」の支給を終える季節。ボーナスはこの半年の働きに見合った金額、評価だったでしょうか?
社会経済生産性本部の調査(2007年3月時点)によると、「成果主義的処遇」を取り入れている企業の割合は、日本企業全体の8割を超えた。数字をながめると、「成果主義」は日本企業にすっかり浸透したように見える。成果主義による評価は機能しているのか。

野々村人事部長
日本企業の人事担当者の代弁者、野々村さん。彼が勤める中堅流通チェーン・マルコーでは先日ひらかれた経営会議で、組織体制を大幅に変えることが正式に決まった。(この話に関しては以前ご紹介)5月の株主総会で、先代の社長時代からマルコーを支えてきた数名の地域本部長が、取締役を退任することが正式に決まりこれを契機に、組織体制を見直したのだ。
社員には評判が悪い成果主義
懸案の組織体制の変更が決まったことで、大黒社長からは「来春には、組織変更を受けて、人事評価制度を見直したい」と言われている。組織と人事は表裏一体。組織体制を変えれば人事を、人を変えるならば組織体制を見直すのは経営の常識であろう。
実は、マルコーでは2000年、現在の大黒社長に替わったのを機に、停滞気味の組織風土と人心を一新すべく、成果主義の評価制度が導入した。だが、この成果主義評価に対する不満を社員から多く聞かれるようになっていた。
最近、マルコーが実施した社員意識調査の中から、いくつか代表的な声を紹介しよう。
「会社は成果、成果と言うけれど、評価の基準ややり方が一方的で、納得感が低い。数字に表れること以外はどうでもいいのだろうか?」(北関東本部○○店・店長)
「現場の店長は成績がはっきり数字に表れるからいいかもしれないが、本社の間接部門の仕事を数字だけで評価するのは無理があると思う。決算業務や投資家への説明資料の作成など、会社にとって重要な仕事をしているのに、何か報われない気がする」(本社経理部・スタッフ)
「成果主義になってから、地域本部やお店の間で情報共有や助け合いがかなり減ってしまった感じがする。自分のことしか考えないというか、何か殺伐とした雰囲気になってしまった」(首都圏本部企画管理部・課長)
マルコーの社員が指摘するように、成果主義をめぐる一番の争点は、「結果だけで社員を評価していいのか」だ。「そもそも社員の評価を業績だけで決めていいのか」「一人ひとりの業績を正しく測ることができるのか」「上司が部下の業績をきちんと見極めることができるのか」といった疑念が、業績評価に対する反発を生んでいる。
また、個人の成績を重んじるあまり、他人との情報共有やチームワークがうまくいかなくなり、業務が滞ったり、職場の雰囲気が悪くなる傾向もある。野々村さんの知り合いが勤める大手保険会社では、優秀な営業担当者たちから成約に結びつくコツを聞き出して、営業部門全体で共有しようした。だが、個人成績で評価される営業担当者からは猛烈な反発があった。「苦労して得たノウハウをなぜ他人に教えなければいけないのか」が言い分だった。
評価は社員のやる気を引き出すためのもの
そもそも、なぜ社員を評価する必要があるのか。本来の目的は「会社や上司は、あなたのことをちゃんと見ていて、あなたの貢献を認めていますよ」と社員に伝えるため。社員の会社に対する貢献を正当に認めることによって、社員のモチベーションを上げて、会社にもっと貢献してもらうために評価をするのだ。
評価にはいくつかのタイプがある。その違いは重視する項目の違い。つまり、どの制度を選ぶかで、「社員に何を大事にしてほしいのか」、会社や経営者の価値観を伝えることになる。
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