「野々村人事部長の歳時記」

「ダイバーシティーは女性活用」
と言う上司は勉強していない

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2007年7月9日(月)

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 そろそろ「夏休み」の季節。休み中にリフレッシュしながらも、今後の働き方、いわゆる「ワークライフバランス」を考えている人もいるのではないだろうか。

 最近、「ダイバーシティーマネジメント」という言葉を耳にする機会が増えた。「ダイバーシティー」は直訳すれば多様性という意味だが、現代社会に合わせ、多様な働き方を前提とした職場環境の改善が求められているのだ。

 実は、この言葉、日本企業では、まだまだ正確には理解されていない。
 「ああ、女性社員活用のこと。女性管理職の割合を管理職全体の30%にするとか・・・」と考える人が多い。この言葉の正確な理解と、そのマネジメントを考えるためにも、まずは職場で起きている問題を覗いてみよう。

 男性社員だって育児休暇を取りたい

野々村人事部長

野々村人事部長

 日本企業の人事関係者の代弁者である野々村さん。彼が人事部長を勤める流通小売チェーン・マルコーではパート社員の比率が4割を超えている。パート社員を含めた女性社員比率はほぼ半分。管理職の大半は男性社員だが、今年、本社で初めての女性課長が誕生した。野々村さんは「さらなるダイバーシティーマネジメント」を狙っているのだが…。

 ある日の雨上がりの午後。店舗開発部長が、野々村さんの部署を訪ねてきた。彼の相談は、“出店交渉なら右に出るものはいない”と言われる店舗開発の男性スタッフが、共働きの妻を気遣い、育児のための時短勤務を希望している、というのだ。出産後復職し、時短勤務をする女性社員はいるが、男性の時短取得はマルコーにとっては初めてのことだ。

店舗開発部長:「時短勤務だと店舗開発の仕事は難しい。そもそも、出張が多いし、夜も遅くなりがちだ。その中で、『5時には帰ります』『出張はできません』では困るんだ」

野々村さん:「長期的に見れば、彼に続く若手を育てるいい機会じゃないですか。それに、彼は、今の仕事に情熱を注いでいるようですから、彼のように優秀であれば時間を有効活用すれば、何とかなるのではないですか?」

店舗開発部長:「時短勤務を取るってことは、要は、仕事は二の次ということだよね。とにかく、誰か新しいスタッフを早くよこしてもらえないですか? 彼には、定時で帰ることができる別の部署で働いてもらえばいいんじゃないの」

店舗開発部長は「店舗開発課長にすぐにでも昇進させたい」と高く評価していた開発スタッフを「時短勤務を取る」というだけで異動させようとしているのだ。

 「結局、マルコーで働き続けるには長時間勤務は避けられないのか」
 野々村さんは考え込んでしまった。

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著者プロフィール

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。

野々村人事部長

野々村人事部長

年齢は48歳。
大学卒業後、電機メーカーに入社。営業の仕事に従事し、10年目に人事部へ異動。採用から研修、人事考課の取りまとめまで、3年でひととおり人事の実務を経験した。人事部在籍4年目の人事課主任の時に、中堅の半導体用機械メーカーに転職し、採用マネジャー、教育研修マネジャー、人事課長と、人事畑で着実に経験を積む。人事部部長代理になって2年目の43歳の秋、大学時代のラクビー部の先輩で、中堅の流通チェーン・マルコーの2代目社長・大黒氏から乞われて、人事部長に。現在は、同社で人事・教育全般の統括と、組織風土改革プロジェクトの事務局長を務めている。

永禮 弘之(ながれ ひろゆき)

永禮 弘之

株式会社エレクセ・パートナーズ代表取締役
これまで、化学会社の経営企画、外資系コンサルティング会社のコンサルタント、衛星放送会社の経営企画部長・事業開発部長、組織変革コンサルティング会社の取締役などを経て現在に至る。建設、化学、医薬品、食品、自動車、電機、情報通信、小売、外食、ホテル、教育出版、文具など幅広い業界の企業に対して、7000人以上の経営幹部、若手リーダーの育成を支援。ASTD(アメリカに本部がある、世界最大の人材開発・組織開発の非営利団体)日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長。

著書・雑誌寄稿:『強い会社は社員が偉い』日経BP社、『問題発見力と解決力』日経ビジネス人文庫(共著)、『グループ経営の実際』日本経済新聞社(共著)、『日経ビジネスオンライン』連載「野々村人事部長の歳時記」、『日経ビジネスアソシエ』連載「MBA講座」、最近の著書に『強い会社は社員が偉い 社員様第一経営のススメ』(NB Online book)がある。

 



このコラムについて

野々村人事部長の歳時記

昨今、日本企業に取り入れられている人材育成や人事の仕組みや考え方について、研修やコンサルティングをする中で、我々が聞いてきた疑問の声を取り上げながら、人事のあるべき姿について皆さんと考えていく。

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