• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第7回 デキル奴は「文書化」上手

説得する文書と納得する文書の作り方

  • 葉玉 匡美

バックナンバー

2007年7月26日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 この20年間、毎日、あきれるほど多くの文章を書いている。

 予備校講師、検事、弁護士。何をやっても、仕事柄、大量の文書を作らなければならない。そのうえ、趣味で本を書いたり、ブログを書いたりしているから、私は絶対、執筆中毒に罹患していると思う。

 書いている量からすれば、私には、かなりの「文書化力」が備わっているのは間違いない。「文章力」ではない。「文章力」は素晴らしい内容の文章を書く能力のことである。

 これに対し、「文書化力」は自分の頭の中にあることを短時間に大量に文書化する能力のことをいう。質より量を重視するのが「文書化力」だが、この言葉は、今適当に思いついた言葉なので、辞書など引かないでほしい。

文書化力の効用

 本来、「文章力」を身につけるのがベストだが、量を重んじる「文書化力」も捨てたものではない。短時間で大量に文書を作ることができる人は、実力以上に仕事がデキル人間に見えるからである。

 本当は「少量だが凄い文章を書く人」の方が文化的には優れた存在であると思う。

 しかし、実務的には、受験でも、仕事でも、人並みの文書を迅速大量に作る能力を持つ人の方が高く評価される傾向にあるのが現実である。どんなに良い商品を作るメーカーでも、納期に必要な量を納入できないと流通から排斥され、結局、世間に認知されないことが多いのとよく似ている。

 INPUTした情報を自分の中に眠らせているだけならば、その勉強は単なる趣味に過ぎない。趣味の勉強なら、勉強術など学ばず、もっぱら楽しむことだけに専念すればよい。脱時空勉強術は、自分の中に定着させた情報を、課題の性質に応じて結合させて、縦横無尽に利用し、実務に役立てることを目的としている。INPUTした情報を適切にOUTPUTできるようにし、OUTPUTを意識したINPUTを行うことでその効率を高めるのが、脱時空勉強術の本質である。

 周りを見渡してみて欲しい。世の中は、文書にあふれている。本や紙文書のほか、メール、PDF、各種データ類。すべて文書の一種である。企画・総務・経理の部屋が文書に埋まっているのは当然のこと、生産現場も営業も、経営データ用や自主的改善用として様々な文書作成が義務づけられている。

 大量の情報をINPUTし、大量に文書化していくことが要請される現代社会では、「文章力」より「文書化力」を身につける方が先決である。だからこそ、OUTPUT重視の脱時空勉強術は、文書化力の養成に力を入れる。

受験と検察事務が文書化力の源

 とはいえ、実は、私も、昔は、文章を書くのが苦手だった。小学3年生の時は、書くのが嫌でたまらず、読書感想文で原稿用紙1枚埋めるのに涙を100粒流していた。

 なぜ、そんなイタイケな少年が、こんな執筆中毒オヤジに変わってしまったのか。振り返ると、司法試験の受験と、検事の職務が、「文書化力」を高めてくれたように思う。

 両者は、極めて制約の多い環境の中で、短時間で大量の文書作成が強制されるという点で共通している。

 例えば、当時の司法試験は、1科目につき2時間以内で原稿用紙10枚くらいの論文を書かなければならないというものだった。短時間で大量ということもつらいし、間違ったら不合格というプレッシャーもつらいが、ペンで書かなければならないのが何よりつらかった。一度書き始めたら、書き直すことができないから、問題分析の結果や考えたことを要領よくメモした後、一気に連続して書き上げるしかない。

 検事調書の作成も似たようなものだった。

 検事は、調書作成の時に、自分でワープロを打たない。被疑者の目の前で、事務官に対して調書にすべき内容を口頭で伝え、事務官がワープロを打って調書を作成することになっている。これを口授(くじゅ)という。

 口授をする以上、後戻りやカット&ペーストが難しいのは、司法試験の答案作成と同じである。しかも、何度も逮捕歴のある被疑者の目の前で、たどたどしい口授をすると

 「今回の検事さんは、下手だな」

と侮られたりするから、堂々とよどみ無く口授せざるを得ない。取り調べごとに、被疑者という試験官に、テストしてもらっているようなものである。

コメント4

「葉玉匡美の脱時空勉強術」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック