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“引退の花道”のため
「企業改革」に取り組まないで欲しい

「長続きしない」「活動が下火になる」いくつかの理由

  • 野々村 人事部長,永禮 弘之

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2007年9月3日(月)

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9月に入ると、企業は中期計画や来年度の事業計画・予算に取り掛かり始める。人事部でも、来期の教育プログラムの中身・予算、人事制度改定の骨格づくりが始まる。日本のビジネスパーソンにとって、秋は企業組織、仕事、働く人々の在り方などについて原点に戻って考えることが増える季節だ。

野々村人事部長

野々村人事部長

日本企業の人事部の代弁者、野々村さんが勤める中堅流通チェーン・マルコーでも10月に組織再編が控えている。これまでの連載(関連記事)でふれてきたとおり、野々村さんはマルコーに転職し、人事部長として、また組織風土改革プロジェクトの事務局長として、組織体制の変更、人事評価制度の見直し、人材育成の仕組みの整備に取り組んでいる。野々村さんの仕事は「企業改革」をすることである。

 そこで、これまでの連載を振り返る意味を込め、今回と次回は人事制度も含め日本企業における「改革」について取り上げてみた。世間を見渡すとどうも「企業改革」が上手くいっていないケースが多いようだ。何故うまくいかないのか。その理由を考えてみた。

カイゼン活動は下火になっている

1980年代に、日本企業の躍進とともに注目され、KAIZENという英語にまでなった「カイゼン」活動。カイゼンは、品質の高さにこだわった日本企業の不断の取り組みだ。日本科学技術連盟の調査によると、QC(Quality Control;品質管理)サークル活動の成果発表件数は、2005年に1537件で、1990年代前半から約20年間減少傾向だ。ピーク時の1992年に比べ、6割以上落ち込んでいる。

筆者が支援している顧客の中にも以前は積極的にQC活動を行っていたが、「改革疲れ」や「カイゼンアレルギー」が社内に蔓延してしまって、仕切り直しをしている企業が見受けられる。どうして改革は長続きしないのだろうか。

 原因1:トップは引退の花道として「改革」に取り組む?

「社員の能力が低いから業績が悪くなった」。数年前、こう公言した大手企業のトップがいた。また「社員に危機意識が足りない」という経営者の嘆きを耳にすることがある。これらの発言の裏には経営者の責任逃れを感じる。

経営者

経営者

日々環境が変化する中で、会社経営の最終責任を負う経営者が危機意識を持つのは当たり前。立場の違う社員に自分の危機意識を伝えて、改革に取り組むように仕向けるのは、本来、経営者の責務。志の高い社員の善意を当てにしているだけでは、経営者の責任を果たしているとはいえないのではないのか?

 また、トップは、自分の任期が終わりに近づくと、引退の花道を飾りたくなるようだ。M&A(合併・買収)を仲介しているエージェントは、任期終了間近の社長をターゲットにして、M&A案件を持ち込むらしい。自分の経営手腕に自信のあるトップは、自分が引退した後、「果たしてこの会社は生き残っていけるのだろうか?」という心配が頭をよぎるようになる。そして、会社の基盤を磐石にするのが、自分の最後の仕事だと考えるようだ。その答えの1つがM&Aになるわけだ。

 このような「大改革」も残される者たちにとってはいい迷惑だろう。トップは、新しくできる会社の初代会長や社長に納まったりするが、多くの役員は、役員の椅子が半分になり引退することになる。社員は、心の準備も整わないまま、営業・製造拠点の統廃合や人員削減の波に飲み込まれる。取引先も通常絞り込まれ、長年の取引関係が打ち切られることもある。

 長期ビジョンに沿って、きちんと吟味してM&Aをするのであれば、統合効果が期待できる。しかし、トップの引退の花道を飾るために、仲介エージェントの売込みをきっかけにした思いつきでは合併や買収といった、いわば「大手術」が上手くいくとは思えない。

 実際、ダイムラーとクライスラー、タイムワーナーとAOLといった、実力トップが引退前に断行した世紀の大合併は、上手くいっていないケースが多い。数カ月前に新聞紙上を賑わせた精密機械メーカー同士の統合についても、当時の社長のインタビューを読むと、「引退の花道」を飾ろうとした意図を感じる。

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