「野々村人事部長の歳時記」

最終回 「企業改革 成功のカギはABC」

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2007年9月10日(月)

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 今回は、前回に引き続きこれまでの連載(関連記事)を振り返り、日本企業における「改革」を取り上げる。前回は、「なぜ、企業の改革は長続きしないのか」、その理由に焦点を当てた。改革が続かない主な理由として、「トップの引退を花道で飾る」、「他社を真似ても、仏作って魂を入れない」、「改革手法を使うこと自体が目的化する」、「トップの任期切れで振り出しに戻る」ことを指摘した。

 そこで、今回は、企業の改革を成功させるヒントを取り上げたい。

立ち上げをリードする熱血漢がいるか

経営者

経営者

 前回、企業の改革が尻切れトンボになる原因に、トップの交代を挙げた。日本企業の社長の任期は概ね4〜6年で、改革が組織全体に根づき始める時期に、社長の交代が重なってしまう。一方、30代後半から40代のミドル(課長、部長層)は、今勤める会社に留まるとすると、あと20年くらいその会社で職業人生をおくることになる。

 この余命の長いミドルの中に、野々村さんのような、熱い志をもって改革を引っ張ろうとする人がいるかどうかが、改革の立ち上げの成否をわける。多くの大企業では、職場の雰囲気は停滞気味で、事なかれ主義が蔓延している。こんな組織で、いろいろな軋轢をうむ改革を立ち上げるのは、かなり労力と勇気がいる。上層部には既得権益の恩恵を受けている人もいて、抵抗勢力は手強く、いつ反旗を翻すか分からないのが現実だ。

 こんな状況で改革を立ち上げるには、正論をふりかざすだけではどうにもならない。「トップにはあまり会ったこともないし、どうせ先行きも短いだろうが、この人が言うんだったら協力するか」というミドルがいるかどうかが、現場に改革の裾野を広げるカギになる。

 伝統的な重厚長大企業・K社で、技術部マネジャーのNさんが、就任したばかりの社長を説得して、改革が始まった。Nさんは、実は前社長時代にも経営陣に改革を訴えていた。その時は社長に賛同してもらえず、あえなく失敗。それをきっかけに、Nさんは守旧派の役員たちに「生意気な要注意人物」としてにらまれた。同期や後輩が事業所長に昇進していく中で、K社では窓際ポジションの技術部品質保証担当マネジャーとして、塩漬けにされていた。いわゆる「見せしめ人事」だ。

 普通、サラリーマンだったら、自分の将来を考えてここで諦めるだろう。しかし、Nさんは違っていた。Nさんのモットーは、自分自身が「変わり続ける」こと。Nさんは、今度就任する社長が親会社で部門の改革を陣頭指揮していたことを聞きつけ、チャンスが到来したことを知った。そこで、新社長を説得して改革を立ち上げる作戦を練るために、以前から交流があった筆者を訪ねて来た。

 

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著者プロフィール

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。

野々村人事部長

野々村人事部長

年齢は48歳。
大学卒業後、電機メーカーに入社。営業の仕事に従事し、10年目に人事部へ異動。採用から研修、人事考課の取りまとめまで、3年でひととおり人事の実務を経験した。人事部在籍4年目の人事課主任の時に、中堅の半導体用機械メーカーに転職し、採用マネジャー、教育研修マネジャー、人事課長と、人事畑で着実に経験を積む。人事部部長代理になって2年目の43歳の秋、大学時代のラクビー部の先輩で、中堅の流通チェーン・マルコーの2代目社長・大黒氏から乞われて、人事部長に。現在は、同社で人事・教育全般の統括と、組織風土改革プロジェクトの事務局長を務めている。

永禮 弘之(ながれ ひろゆき)

永禮 弘之

株式会社エレクセ・パートナーズ代表取締役
これまで、化学会社の経営企画、外資系コンサルティング会社のコンサルタント、衛星放送会社の経営企画部長・事業開発部長、組織変革コンサルティング会社の取締役などを経て現在に至る。建設、化学、医薬品、食品、自動車、電機、情報通信、小売、外食、ホテル、教育出版、文具など幅広い業界の企業に対して、7000人以上の経営幹部、若手リーダーの育成を支援。ASTD(アメリカに本部がある、世界最大の人材開発・組織開発の非営利団体)日本支部理事、リーダーシップ開発委員会委員長。

著書・雑誌寄稿:『強い会社は社員が偉い』日経BP社、『問題発見力と解決力』日経ビジネス人文庫(共著)、『グループ経営の実際』日本経済新聞社(共著)、『日経ビジネスオンライン』連載「野々村人事部長の歳時記」、『日経ビジネスアソシエ』連載「MBA講座」、最近の著書に『強い会社は社員が偉い 社員様第一経営のススメ』(NB Online book)がある。

 



このコラムについて

野々村人事部長の歳時記

昨今、日本企業に取り入れられている人材育成や人事の仕組みや考え方について、研修やコンサルティングをする中で、我々が聞いてきた疑問の声を取り上げながら、人事のあるべき姿について皆さんと考えていく。

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