「スモールワールド」「スケールフリー」といった概念をご存じだろうか。
「ショートカット」や「ハブ」を意識すれば、効率的な人脈を構築できる。
他者との偶然のつながりを知って驚いた経験はないだろうか。
例えば、旅先で出会った人が友達の友達だった、取引先の担当者が知人の親戚だった、初対面の客と話していたら共通の知人がいた…などなど。こうした偶然に触れた時、「世間は狭い」と感じるはずだ。
実際に最新のネットワークの研究はこうした我々の実感を裏づけている。
我々は「友達の友達…」というように、ネットワークを約6人(平均値)たどることで、世界のすべての人間とつながることができるのだという。

「自分が他者とどのくらいの距離でつながっているか」について、いくつかの実験がある。2004年に、フジテレビジョンの番組で行われた実験では、アフリカのサントメ・プリンシペからスタートして、次々に知人を紹介していくことで、日本の笑福亭鶴瓶さんまで14人で行き着いた。古くは1967年に、心理学者のスタンリー・ミルグラムが、米国ネブラスカ州に住む160人がそれぞれの友人に手紙をリレーしながら、ボストン在住のX氏(名前や職業、住所などを公開している)に届けるという実験を行っているが、たどり着いた手紙に関わった人を調べたところ、その際は平均6人であった。ネットワークの平均距離が6であったため、「6次の隔たり」という言葉が生まれた。

「ショートカット」を利用しよう
ショートカットとは、ネットワーク上の2つの部分をぐっと近づける枝である。自分のコミュニティー内で枝を作るよりも、異なるコミュニティーへのショートカットを維持する方が一般にコスト(時間、労力、金銭的負担など)は高くつく。さらに、そのショートカットを長期間維持するのは難しいことが多い。ならば、ショートカットを持っている人と仲良くなって、その道を使わせてもらえれば、安いコストで多くの人とつながっていられる。情報通の人、外向的な人、好奇心に基づいて行動する人などが、近道を持っている可能性が高い。
つまり「知り合い」をたどっていくとたった6人程度で、米国大統領や国連事務総長ともつながっているというのだ。これが「スモールワールド(6次の隔たり)」と呼ばれる説である。
3年前、フジテレビジョンの番組内でこの説を実証する実験が行われた。この時は、西アフリカの小国、サントメ・プリンシペから、日本の落語家・笑福亭鶴瓶さんまで、何人の紹介でたどり着けるかというもので、結局14人かかった。この時は、サントメ・プリンシペ在住の日本人が皆無であることもあって苦戦し、平均値の6人では届かなかったわけだが、いずれにせよ何百人ものリレーをしなくてもたどり着けることを実証した。
この実験では、南アフリカからエジプトやインド…へとバトンが渡るのではなく、日本へ一気に結びつくような飛躍があった。このように南アと日本という一見異質なコミュニティーが結びつくことを、ショートカット(近道)と呼ぶ。
「異なるコミュニティーや異質な集団が結びつく近道があるからこそ、情報の迅速な伝達が可能になる」。ビジネスシーンでも、この近道を活用することが重要になる。

増田直紀氏
東京大学
情報理工学系研究科講師
工学博士
1976年生まれ。98年に東京大学工学部計数工学科を卒業した後、同大学院に進学し、2002年に博士(工学)。理化学研究所 脳科学総合研究センター 基礎科学特別研究員などを経て現職。著書に『私たちはどうつながっているのか』『「複雑ネットワーク」とは何か』など。「日経ビジネスアソシエ」でプレゼンの連載をする小室淑恵さんは「中学時代からの友人」であると、自ら「スモールワールド」説を実証。
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