マーケット、プロジェクトに続いて、今回は恋愛のプレゼンテーションについて考えます。
プレゼンテーションとしての恋愛で特に女性が気をつけるべきことは、「相手を試したり、罠にかけたりしない」ということです。
「相手を試す」というのは、相手の気持ちを試すような会話をしたり、メールを送ったりすることです。
「罠にかける」というのは、ちょっと分かりにくいかもしれません。これも、試すことの延長にあるのですが、例えばメールが苦手な相手と分かっているのに、わざわざメールで大事なことを伝えて、「返事が素っ気ないよね」とか「どうして返事をくれないの」とか責めたり、自分でがっかりしたりすることです。
こういう時は、「相手が自分のことをどのくらい好きか、知りたい(好きなら、面倒なメールでも返事をくれるはずだ)」という気持ちや、逆に「きっと相手は、私にあまり好意がないのだろう(どうせ好かれていないのだから、相手の苦手なメールを送ろう。返事がないかもしれないが、メールが嫌いなのだからしかたないのだ)」という気持ちがあるのです。つまり相手の返事を予想して、罠にかけているのです。
相手がメールが苦手な人なら、メール以外の方法を取ればよいのです。
相手を試したり、罠にかけることを「恋愛のかけひき」だと思っている人もいますし、それが好きな人もいます。そういう人は、「自分は恋愛のかけひきがしたいんだ」ということを、きちんと自覚した方がよいでしょう。そしてできれば、そういうことが向いていない相手を自分のゲームに巻き込まないようにする、という配慮もすべきです。
相手と自分を疲れさせる方法論はお勧めしない
大切なのは、あなたの目的が何なのか、です。
・恋愛関係をつくりたいのか
・恋愛のかけひきを楽しみたいだけなのか
「自分は相手と恋愛関係をつくりたい」「長期的な関係をつくりたい」、あるいは「結婚したい」というのが目的なら、「試す、罠にかける」という方法論をやっていも、あまり意味がありません。そもそも、「恋愛のかけひき」を上手にやれる人はなかなかいないものです。
この方法論は無意識にやっていることが多く、また、恋愛に関しては方法論と目的が逆転することが多いものです。外野から、「彼の気持ちを確認した方がいいよ」などと言われたりすると、ますます方法論の方にのめり込んでしまう。
最初は相手とつき合うことが目的だったのに、相手を試したり罠にはめたりしているうちに、そちらに夢中になりすぎて、つき合うという目的を見失ってしまうこともよくあります。
この結果、相手だけではなくて、自分の気持ちまでも試したり罠にかけてしまうことにもなりがちです。そして結局、自分も相手も疲れるだけなのです。
コントロール可能な恋愛なら、「マーケッティング」も「プレゼン」もあるでしょう。しかし恋愛の本質はコントロールできないところにあります。「恋愛に向いていない」と思って、冷静に相手を選んで結婚し子供も持ってから、初めての恋愛に落ちてしまう、よくある話です。だったら、周りへの迷惑が小さくて済むうちに狂うだけ狂って免疫をつけてしまった方が、リスク管理の観点からは安上がりです。大人になってからの麻疹(はしか)はきついですよ。しかし、それも選択できないのが「本質」です。「無理矢理恋愛する必要はない」というのは同意見ですが、「向いていないからしない」「妄想で済ませる」なんてことができるのか、疑問です。恋愛を分析することはできても、自分の心をコントロールすることはできません。人生、特に男と女は、「ケ・セラ・セラ」なんです。(2008/02/11)