「茂木健一郎の「超一流の仕事脳」」

絶対に譲れないものを1つ持て

〜映画監督 堤幸彦〜

  • 茂木 健一郎

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2008年5月13日(火)

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 今回のメッセージは、「絶対に譲れないものを1つ持て」ということだ。誰にとってもある。それを忘れ、魂を売ってしまったらもうお仕舞いだ。仕事の中で魂を売ってしまう誘惑に駆られることはたくさんあると思う。

 「譲れないもの」を持つことは、必ずしも独善的ではないし、マーケットや社会を無視することではない。そこに柔軟に対応しつつ、しかしこれだけは譲れないというものを、秘かに、何でもいいから持つことが大事なのだ。

 映画監督・堤幸彦さんの素敵なところは、商業的にもきちんと成功をおさめていながら、胸の奥底には強い反骨心を秘めていることだ。現代における「反骨心」「ロックンロール・スピリット」とは何だろうか。その解は誰も出していない。

 それはかつての学生運動のような形では表現できないわけだし、表現しても意味がない。ひょっとするとインターネットも最初はそういうものだったのかもしれない。

 ティーンエイジャーの頃の体験が、堤さんの中ではかなり大きかったのではないだろうか。周りはみんなエリートばかりで、その中で突っ張るというのはかなり大変だったと思う。「世の中には使う側の人間と使われる側の人間がいる」。堤さんは、自分はエリートの中に入って、威張ったり使う側に回ることは絶対にしたくないという思いがある。

 大抵の人間は、無意識のところで自分は使う側の人間だと思っている。堤さんはそれを自分にも問いかけている。それも理屈ではなく感覚でどちらだと思っているのか。

 これはかなり難しいことを言われていたと思う。芸術家や表現する人はそこらへんをちゃんと考えていないと、人の心に届く表現はできない。52歳にもなってそういう原点を熱く語れるのが、やっぱり堤さんは表現者ということなのだろう。

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気負わず、おごらず、立ち止まらず
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
5月13日(火)午後10:00〜10:45
・再放送
 総合 毎週火曜 午前1:05〜1:49
     (月曜深夜)
 総合 毎週火曜 4:05〜4:49
 BS2  毎翌週水曜 午後5:15〜5:59
 今、日本一多忙な映画監督と言われる堤幸彦(52)。この夏話題の娯楽超大作「20世紀少年」を始め、今年1年だけで4本の映画の監督を務める超売れっ子だ。これまで、奇想天外な人気ドラマの映画化「トリック」から、アルツハイマーを題材にした「明日の記憶」まで、幅広いジャンルでヒット作を生み出してきた。
 
 堤が映像の世界に飛び込んだのは今から30年前。バラエティ番組のADからスタート。音楽ビデオやCMなどをへて、テレビドラマで独自の世界を切り開き、注目を集めた。「金田一少年の事件簿」、「ケイゾク」、「池袋ウエストゲートパーク」。その独特な演出手法と斬新な映像表現は“堤マジック”と称される。
 
 堤は去年秋から映画監督として初めて、実話の映画化に挑んでいる。主演は、日本を代表する大女優、吉永小百合だ。映画界の本流を歩いてきた吉永に、奇才・堤はどう挑むか。
 
 新たな境地に挑戦する映画作りの現場に密着、堤の仕事の流儀に迫る。


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