今回のメッセージは、「絶対に譲れないものを1つ持て」ということだ。誰にとってもある。それを忘れ、魂を売ってしまったらもうお仕舞いだ。仕事の中で魂を売ってしまう誘惑に駆られることはたくさんあると思う。
「譲れないもの」を持つことは、必ずしも独善的ではないし、マーケットや社会を無視することではない。そこに柔軟に対応しつつ、しかしこれだけは譲れないというものを、秘かに、何でもいいから持つことが大事なのだ。
映画監督・堤幸彦さんの素敵なところは、商業的にもきちんと成功をおさめていながら、胸の奥底には強い反骨心を秘めていることだ。現代における「反骨心」「ロックンロール・スピリット」とは何だろうか。その解は誰も出していない。
それはかつての学生運動のような形では表現できないわけだし、表現しても意味がない。ひょっとするとインターネットも最初はそういうものだったのかもしれない。
ティーンエイジャーの頃の体験が、堤さんの中ではかなり大きかったのではないだろうか。周りはみんなエリートばかりで、その中で突っ張るというのはかなり大変だったと思う。「世の中には使う側の人間と使われる側の人間がいる」。堤さんは、自分はエリートの中に入って、威張ったり使う側に回ることは絶対にしたくないという思いがある。
大抵の人間は、無意識のところで自分は使う側の人間だと思っている。堤さんはそれを自分にも問いかけている。それも理屈ではなく感覚でどちらだと思っているのか。
これはかなり難しいことを言われていたと思う。芸術家や表現する人はそこらへんをちゃんと考えていないと、人の心に届く表現はできない。52歳にもなってそういう原点を熱く語れるのが、やっぱり堤さんは表現者ということなのだろう。
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