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将来の「伸びしろ」を見抜く力

~茶師 前田文男~

  • 茂木 健一郎

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2008年6月17日(火)

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 今回お話をうかがった茶師の前田文男さんは、膨大な種類の茶葉からこれはと判断したものを仕入れ、ブレンドする仕事に携わっていらっしゃる。僕が興味深かったのは、単にそこにある一番良いとされるお茶だけを選ぶのではなく、手をかけることによって「伸びる」お茶を見つけるというところだ。

 確かに世のグルメなどと言われる人は、良いものを見て「良い」と言うことができる。いわゆる評論家タイプの人で、そういう人はたくさんいる。お茶に限らず、ビジネスの世界でも、既に良いと評価されているものに対して、「良い」と言うことは誰にでもできる。

 前田さんの「伸びるお茶」を見抜くというのは、今は荒削りで必ずしも良いものではなくても、手間をかければ良くなると見切る、一段高度な見方をしている。今回は、お茶の話から子育てや人材育成の話になったが、考えてみるとベンチャービジネスに投資するエンジェルなどにも共通する見方をしている。

 前田さんの言葉で非常に印象的だったのは「見捨てない」こと。お茶はその時々の気象条件などによって、品質がばらついてしまうことが避けられない。たとえ霜が降りて条件の悪い年でも、一度自分のところに引き受けたお茶は、その与えられた状況のなかでなんとかするという覚悟がある。これは、世の経営者、教育関係者など全員に聞いてもらいたい言葉だった。

 どうすれば「伸びるお茶」が見極められるようになるのか。前田さんは、お茶の審査の技術で日本のトップクラスになった後で、師匠である父親から「お茶が見えていない」と宣告された。その後5年、工場の現場でお茶と向き合う日々の中で、突然「これだ」と見えたという。

 5年目に突然何かが見えたのは、脳の働きとして見ても不思議なところだ。とにかく経験を側頭葉に溜め込んで、経験から答えが出てくるのを待つ。その間に前頭葉が答えをリクエストし続けていないといけない。

 つまり2つのことが必要で、1つは経験の蓄積で、もう1つは前田さんが問いかけをしていたことだ。「お茶が見えていない」という父親のひとことにたいして、「見える」とはどういうことかと問いかけをしていたことが、相まってその瞬間が訪れたのだと思う。とにかく経験を側頭葉に蓄積し、前頭葉で問いかけを続けることが大事だ。

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一葉入魂、本分を尽くす
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
6月17日(火)午後10:00~10:45
・再放送
 総合 毎翌週火曜 午前1:00~1:44
     (月曜深夜)
 BS2 毎翌週水曜 午後5:15~5:59
 茶葉の特徴を見抜き、それをブレンドすることで最高の味を引き出す“茶師”。その世界でその名を轟かす男がいる。茶師・前田文男(47)。
 
 前田は、全国の腕自慢の茶師たちが茶葉の鑑定技術を競う「全国茶審査技術競技大会」で平成5年、日本一となり、その後、抜きん出た実力を認められ、史上初の10段を獲得したプロ中のプロである。
 
 全国の茶葉流通量の7割が集まる茶所・静岡。4月、新茶の季節が始まると前田の最も熱い時期が始まる。
 
 毎朝3時に起床、体調を整えて市場へと向かう。そこはまさに戦場、いい茶葉を安く仕入れようと海千山千の茶商たちが群がる。仕入れた茶葉はその日のうちに「火入れ」と呼ばれる乾燥作業が行われる。この作業によって味と香りが大きく左右される。前田はその間、火入れの機械の前を片時も離れず、最適の一瞬を見極める。
 
 前田は今年、ある東京のお茶屋から究極のお茶の発注を受けた。ギリギリまで火入れした香りの強いお茶。加減を間違えれば火が入りすぎ茶葉はすべて駄目になる。この夏、「禁断のお茶」に挑む茶師、前田の仕事の流儀に迫る。


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