今回お話をうかがったのは、がん看護専門看護師の田村恵子さん。田村さんのお仕事は、残された日々を懸命に生きるがんの患者さん、家族のかたを看護師の立場でサポートすること。人間の死生観を問われる収録だった。
田村さんは、「人は悲しくて泣くのではなくて、真実に触れたことで泣く」とおっしゃっていた。それを聞いて、そうだ、人生とはそういうものだと感じた。今回の番組の中で出てきた患者さんが、娘の結婚式にもう間に合わないかもしれないと知る。娘がいてお母さんがいて、いつかは別れが来る。しかしわれわれは普段その真実に眼を向けていない。その瞬間に真実が具体的な形を取って現れてきた。
普通、結婚式というのはめでたいことだが、それは次の世代が次の生命を育みはじめる、自分の世代が1つの役割を終えたという儀式でもある。それが凝縮されたかたちで提示されたとき、人は真実に触れた思いがするのではないか。
人は死生観についていろいろな思いを抱いている。田村さんもおっしゃっていたが、現代社会は死を隠しているから、生命力が衰えているという側面があるのではないかと思う。
今回の田村さんも、以前この番組に登場された北村愛子さんもおっしゃっていたが、ぎりぎりのところで戦っている人たちの命の輝きに触れると、そこからエネルギーがもらえるという。それはきっと本当なのだと感じた。
田村さんには覚悟ができている人の強さがある。「自分の言葉に揺らぐものがあると、それが患者さんに伝わってしまう」とおっしゃっていた。揺らがないものがあるということは、覚悟ができているということ。それは真実を見ているということだ。
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