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ライバルに跳ね返されたかけがえのない経験

~名人戦 森内俊之VS羽生善治~

  • 茂木 健一郎

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2008年7月15日(火)

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 「知のデフレ」が進むこの日本で、将棋の棋士が持つメッセージ性は、非常に大きな意味を持つと思う。あれだけの天才があれほど精進しても、まだまだ先があるという「オープンエンド性」や、姿かたちがどうこうではない、実質こそが大切だといったことだ。将棋だけでなく、普遍的にああいう世界があるのだと知ることにおいても。

 今回お話をうかがったのは、先の名人戦を戦った羽生善治さん、森内俊之さん。羽生さんと森内さんの関係は、モーツアルトとベートーベンの関係のようだと思った。モーツアルトには、早熟の天才というイメージがあるけれど、実はベートーベンも同じで、神童と呼ばれていた。

 羽生さんはああいう人だから、自分からは絶対に言わないと思うのだけれど、今回の名人戦の戦いぶりはすごく心を打つものがあった。あの表情は普通では絶対に出ないものだ。それをカメラが捕らえていることがすごい。普通の文明の中にいる人の表情ではない。サバンナの中でハイエナが獲物を狙っているようだった。

 森内さんと羽生さんはタイプが違う。森内さんの持つ驚くべき安定感もすごいし、羽生さんはある意味では不安定なところがある。まったく違う方向性を持った人であり、にもかかわらず、互いに尊敬できる人でないと、良きライバルにはなれない。

 ライバルとはそういうものなんだ。

 ライバルを探すことは、人生にとってとても大事なことかもしれない。よく「年上の女房は金のワラジをはいて探せ」と言うけれど、良きライバルこそ、金のワラジをはいてでも探すものだと、僕は思う。

 羽生さんが将棋界の7つのタイトルをすべて制覇していたころ、森内さんは羽生さんに挑戦して、それまでにまったく経験したことのない感覚で跳ね返されたという。その経験はかけがえのない宝物になっている。そこから追いついた森内さんの凄さも感じる。

 今回、強く感じて、絶対に確信したことがある。ライバルに関する言葉や、いわゆる根性に関することなど、世間で普通に使われているような言葉は、まったく将棋の世界のリアリティに届いてはいない。

 つまり、羽生さんや森内さんが、ある種の図式化されたようなことについてを「違う」と言うのは、逃げているのではない。将棋というものは、あの場で起こることがすべてだから、変な感情論や根性論がまったく通用しない世界なのだと強く思った。

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ライバルスペシャル 最強の二人、宿命の対決
NHKの番組サイトへ
NHK総合テレビ
7月15日(火)午後10:00~10:58
番組公式サイト
本・CD・DVD紹介サイト  
 
 
 
 
 
 
 将棋界でそのとき最も強く、輝いている最高峰の二人の棋士がぶつかりあう「名人戦」。日本の将棋対局の中でもっとも長い伝統を誇る名人戦の中でも、今年の対局は歴史に残る名勝負と呼ばれている。
 永世名人の資格を有する森内俊之(37)、挑むのは将棋界のスーパースター・羽生善治(37)。二人は、同い年で同期。小学校4年生の時に将棋大会で出会って以来、20年以上に渡り共に戦ってきた「宿命のライバル」である。

 今回のプロフェッショナルは「ライバル」スペシャルと銘打ち、この2人の闘いに長期密着。平成の名勝負をドラマチックに描いていく。
 この名人戦には、2人の勝負師としての「人生」が交錯する。25才の若さで前人未踏のタイトル7冠全制覇を成し遂げ、常に将棋界をリードしてきた羽生と、将来を嘱望されながら結果を残せず、羽生に対する「劣等感」をばねに、強さを磨き続け、31才で初めてタイトルを獲得した森内。その後、羽生は森内に立て続けにタイトルを奪われ1冠にまで落ち込むなど、互いに拮抗した戦いを続け、切磋琢磨しあうなかで今回の名人戦を迎えた。

 “光”と“陰”のように対照的な棋士人生を歩んできた二人が最高の舞台で、同じ対局、盤面を前にどのように考え、
互いを意識し、勝負に挑むか。二人の人生の歩みを織り込みながら、勝負師たちのドラマを描いていく。


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