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「お父さん、社長を辞めてください!」
娘の経営方針は“拡大しすぎないこと”

タケダワイナリー 5代目 代表取締役社長 岸平典子さん(後編)

  • 白河桃子

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2008年8月6日(水)

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 (前編から読む)

 1999年、岸平典子さんの兄であり、タケダワイナリー5代目社長になるはずだった伸一さんが、事故で突然亡くなった。かけがえのない人の死は家族に打撃を与え、「一生ワインの造り手でいたい」という岸平さんの運命を大きく変えることになる。

タケダワイナリー代表取締役社長の岸平典子さん

タケダワイナリー代表取締役社長の岸平典子さん(写真:山田 愼二)

 今までは何でも兄と相談し、「兄の考えを具現化するのが私」というのが岸平さんのワイナリーでの立ち位置だった。ブドウ畑とワイン造りの現場が好きで、学者肌でワインのための研究室にこもりがちな岸平さんも、営業や経営と向き合わざるを得なくなった。

 さらに大変だったのは、今まで兄が“緩衝材”になってくれていた「父との対立」だった。

 「何をしてるんだ!」。ある日、近隣の農家から仕入れたブドウを選別していた岸平さんに父の怒号が響いた。タケダワイナリーは自家栽培のブドウを使った「ドメイヌ・タケダ」と、山形県の近隣の農家から買い入れるブドウで造るワインの「タケダワイナリーシリーズ」の2ブランドを持っている。

 仕入れたブドウの劣化した実を岸平さんがはじいていた時、父の怒りが降ってきたのだ。「代々一緒にやってきた農家が作ってくれたブドウを捨てるとは、何ごとだ!」。それでも選別をやめない岸平さんに、父は彼女が捨てたブドウを頭からかけた。「帰れ! 明日から来んでいい!」、スタッフ全員の前で言われた。

 しかし岸平さんは次の日も朝一番で来て、一人黙々とブドウの選別を続けた。原料から選別しないとブドウの個性が出せない、という信念だったのだ。

仏エーグル製ブーツ愛用の剪定ハサミ愛用の剪定ハサミ

畑に出る時の岸平さんのスタイル。仏エーグル製ブーツと、腰には愛用の剪定ハサミ(写真:山田 愼二)

 今は醸造所に入る前に、白い作業用長靴に履き替え、消毒液の水槽に足をひたすように習慣づけているが、これも岸平さんが始めたことだ。衛生管理の徹底、農家を回って「こういうブドウを作ってほしい」とお願いすること。…父から見ればすべて「自分に対する反抗」と思えたのだろう。古くからの従業員が岸平さんの新しいやり方について来られないという面もあった。

 しかし実際には、岸平さんが実を選別して造った「蔵王スターワイン」は出来がよかった。「私の選果したタンクだけ、よくできていたんです」と岸平さん。ついに4年後、父親は根負けしてワイン造りに口を挟まなくなった。

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