「ダイバーシティーマネジメントに取り組む女たち」

【37】富士通ワイエフシー

1通のメールが社員の働き方を変えた

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2008年8月29日(金)

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 富士通ワイエフシーは、地元神奈川県の企業にIT(情報技術)ソリューションとアウトソーシングを提供する、富士通グループ企業の1つだ。

 同社の女性活躍推進は、3歳の子供を持つ女性社員が社長に送った1通のメールから始まった。送信者は、業務管理部(現・経営戦略室)で一般職として働く法林佳世(ほうりんかよ)さん。受け取ったのは、就任して半年の宮浦完次社長。2005年12月のことだった。

ワークライフバランス推進室 室長 経営戦略室 課長の法林佳世さん

ワークライフバランス推進室 室長 経営戦略室 課長の法林佳世さん (写真:皆木 優子、以下同)

 法林さんは2002年に出産し、復職後、仕事と育児の両立の難しさを痛感していた。自分だけでなく、ほかの女性も同じような悩みを抱えているはずだ。女性が働きやすい職場づくりのためにできることはないかと考えていた時、ベネッセが社内のイントラネットで、母性保護措置の情報を公開していることを知った。そこで法林さんは同社の協力を得て、富士通ワイエフシー流の母性保護措置のウェブサイトを自分なりに試作してみた。

 2004年12月法林さんは、この情報を富士通ワイエフシーのイントラネットにも載せてはどうか、と総務部に提案した。妊婦に起きる体の変化やそれに適した働き方に関する情報は、女性にとって参考になるだけでなく、上司と女性社員を結ぶコミュニケーションツールになるのでは、と考えたのだ。しかし、前例がないことから提案は保留となり、半年がたった。法林さんは諦めかけていた。

以前出した企画提案を、社長に直接メール

 2005年6月、それまで富士通ソリューションビジネスサポートグループ長付だった宮浦さんが、富士通ワイエフシー社長に赴任した。直前4月の年度初頭の朝礼で、宮浦さんの「社員を大切にしていく」というメッセージを聞き、法林さんは以前出した母性保護措置の企画のことを思い出した。2004年の提案時は受け入れてもらえなかったが、社長に直接メールしてみてはどうだろうか。

 「社長に直接連絡したら、問題になって会社を辞めさせられるかもしれないという心配もありました。でも、自分には失うものは何もない。そこで、以前出した提案が保留になっていること、子供を持つ女性への理解が必ずしも得られていないことなど、自分の正直な気持ちをメールに託すことにしました」と法林さんは当時を振り返る。

 心配は杞憂に終わった。宮浦社長はすぐに実行するよう法林さんに指示し、1カ月後には、1年前に試作した母性保護措置情報が「プレママHelp!」と名づけられ、イントラネットに公開された。さらに宮浦社長は、女性社員の声を吸い上げるというミッションを法林さんに託した。法林さんは社長の決断の速さに驚いた。

 「実は社長は、富士通ワイエフシーの女性の離職率が高いことや女性管理職がいないことを懸念していたそうです。働き方を改善する提案や要望を女性たちが持っていても、それが上層部に届いていないのではないか。…そう考えていた時に、私のメールが届いたそうです」

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著者プロフィール

岡崎 秀(おかざき・ひで)

岡崎 秀

1975年、慶応義塾大学文学部を卒業。出版社に勤務した後、フリーランスとして翻訳業務に従事する。1988〜2004年までパリに滞在し、現地の日本語情報誌の編集に携わる。現地の生活などをテーマにした記事を執筆するかたわら、JETRO、UNESCOで翻訳も行う。2004年に帰国後、英語、フランス語のインタビューも手がける。「日経ビジネスアソシエ」などに執筆中(写真:佐藤 正治)。



このコラムについて

ダイバーシティーマネジメントに取り組む女たち

 企業の女性活用推進室などで、ダイバーシティー(多様性)マネジメントに取り組む女性管理職たち。このコラムでは、彼女たちへのインタビューを通じ、活用推進の実態や課題、現場の声などを聞いていく。 女性リーダーのための記事は「NBonline Women at Work」へ。

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