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父の作った“我輩のサワー”が
「○○ハイ」「○○サワー」を広めた

博水社3代目 代表取締役社長 田中秀子さん(前編)

  • 白河桃子

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2008年9月3日(水)

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 日本の居酒屋で、お酒の定番メニューになっている「ウーロンハイ」「グレープフルーツサワー」。最近は、生のグレープフルーツが絞り器と一緒に出てくる「生グレープフルーツハイ」なども人気だ。この「ハイ」と「サワー」は、焼酎をジュースやお茶、炭酸飲料などで割る飲み方の一般名称だと思っていたが、実は博水社2代目社長だった田中専一さんが作った「ハイサワー」という炭酸飲料が元になった言葉だという。

博水社代表取締役社長の田中秀子さん。ハイサワーのロゴ入りエプロンをかけて

博水社代表取締役社長の田中秀子さん。ハイサワーのロゴ入りエプロンをかけて(写真:いずもと けい)

 「ハイサワーの『ハイ』は『我輩』の『輩』で、本当は『輩サワー』なんです。父がこの商品を自分で作った、という思いを込めて『我輩のサワー』と命名したのです」と語るのは、2008年4月に博水社の3代目を継いだ田中秀子さん。こんな話は、雑学を紹介するテレビ番組「トリビアの泉」でも聞いたことはなかった。このハイサワーが後に「ハイ」と「サワー」に分かれて、「○○ハイ」「○○サワー」というメニューが全国に拡大し、定着したのだ。

 博水社は、1928年に田中さんの祖父、田中武雄さんが品川区で創業したジュース会社。当時は「みかん水」「ラムネ」「サイダー」などを作っていた。昔はこのような小さなジュース会社が、日本全国にたくさんあった。東京でも、今は40軒ほどになっているが、かつては200軒はあったという。

 そして1980年、2代目社長になった専一さんが、焼酎を割るための炭酸飲料ハイサワーを発売する。このハイサワーが、「焼酎を割って飲む」というスタイルを作ったのだ。

 焼酎割り飲料としては、既に1948年にホッピーが出ている。終戦直後の闇市では「カストリ」「バクダン」いう密造酒が飲まれていたが、ホッピーが登場して、焼酎をホッピーで割る飲み方も、闇市から生まれたという。1981年には1日に20万本を売ったホッピーだが、その強力なライバルとなったのがハイサワーだ。

 ハイサワーは、麦芽を使ったホッピーとはまた違う味わい。炭酸にイタリア産のレモン果汁を使った、爽やかなテイストだ。しかし実は、ハイサワーの前に専一さんは、ホップを使った別商品を開発していた。試作を重ね、完成を目前にした頃、不運にも米国のホップメーカーが倒産。ホップを使えないことになり、一から開発したのがハイサワーだったのだ。

 ハイサワーはレモンと炭酸の入った、焼酎を割るための清涼飲料水だ。隠し味に使われているのは、白ワイン。田中さんの母が「ぶどう酒も入れてみたら?」と提案したことでまろやかさが増して、1980年に製品が完成した。

 「でも当時、飲食店で出るお酒は、ウイスキー、ビール、日本酒が中心でした。焼酎は“労働者の飲み物”と思われており、常備しているお店はほとんどなかったのです」と田中さんは言う。焼酎がないとハイサワーは飲めない。そこで田中さんの父の専一さんは、ハイサワーを広めるための方策を考えた。

 「工場や配達担当の若い社員たちに頼んで、地元目黒の飲み屋さんに営業に行ってもらったのです。ハイサワーと焼酎をP箱(酒を入れて運ぶプラスチックケース)に入れ、肩にかついで、行きつけの飲み屋やスナックを一軒一軒回ってもらいました」

 とはいえ、ただ店に置いていくだけではダメだ。店で焼酎をハイサワーで割り、氷を入れてから「ママ、とりあえず一杯飲んでみてくださいよ」と言ってみる。近くにいるお客にも、無料で薦めてみた。

 爽やかなレモンと炭酸の味の新しい飲み方は、「初めて飲む味だ」「なかなかおいしいね」と、どの店でも評判になった。ハイサワーは新しい「焼酎のカクテル」として、2年ほどの間に爆発的にヒットし、ホッピーのシェアを奪うまでになる。居酒屋用のビン入りの200ミリリットル商品を最初に出し、家庭用の360ミリリットルビンも生産するようになった。

>ハイサワー。ビン、紙パック、ペットボトルなど様々。>ハイサワー。ビン、紙パック、ペットボトルなど様々。

ハイサワー。ビン、紙パック、ペットボトルなど様々。味はレモン、青リンゴ、グレープフルーツなど6種類(写真:山田 愼二)

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