大正時代からの歴史を持ちながら、生徒数減少に悩まされたこともある品川女子学院。それがわずか7年間で偏差値が上昇し、出願者が数十倍に急増。学校再生に成功した。
学校改革を主導した同校6代目校長の漆紫穂子(うるし・しほこ)さんに、生徒や教員と接する中で学んだ人の育て方、やる気の高め方のヒントを、実際のエピソードを交えながら語っていただく。 (参考記事はこちら)
品川女子学院の改革を進めるうえで大事にしてきたことの1つに、「スピード」があります。これは、「早め早めの決断をする」という意味です。
改革に着手した当初は、周囲から「何をやっても手遅れでは…」と言われ、内部にも「もうだめかもしれない」という空気が流れていました。時間も人手も経済的な余力もなく、できることが限られていたので、優先順位など考える余裕がありませんでした。また私自身、教員経験が数年あるだけで、「優先順位をつける」という仕事のやり方さえ知らなかったのです。
そこでまずは、「目の前に見える、小さな、すぐできること」から1つずつ取り組んでいきました。結果的に、これが良かったのだと思います。
小さなことは成功しやすく、結果も早く出ます。目に見えることが変わると「変わったな」という印象をみんなが持ってくれます。たとえ小さくても成果が上がり、それで生徒が喜べば参加した教員は達成感を持ち、またやってみようという気持ちになります。よいスパイラルが生まれるのです。
そうして目に見えることが次々と変わっていくと、組織の中にも外にも「もしかしたら、本当に変わるかも…」という、「改革を信じる気持ち」が生まれてきます。この「信じる気持ち」が消えないうちに、すぐやる。そして、やり続けることが大切なのです。どこかで気を抜いて足を止めたら転んでしまう…。ちょうど、自転車をこぎ続けているような気持ちでした。
改革を進める過程で校外の様々な方にもアドバイスをいただきましたが、この時、「聞きっぱなし」にせずにすぐに実行したことで、さらなるサポートをしていただけました。「生徒のためにいいと思ったことは、すぐに実行する」。その姿勢が、少しずつ信頼につながっていったような気がします。

品川女子学院の正門前(写真:筆者)
「スピード」が大事だと最も強く感じるのは、目の前の生徒を見ている時です。生徒の1年1年の成長は速く、学生生活の1年間は二度と戻ってこない貴重な時間だと思うからです。
学校は親御さんから大切なお子さんを預かる場ですから、保守的、安全志向であることも大切です。しかし「完璧を期す」という思いが強すぎて、はっと気づくと何年も経っていたということもありがちです。学校側から見れば、それでも大きな違いはないかもしれません。しかし、生徒にとってはどうでしょう? 次年度送りにすれば、その年の生徒が得るものは、ゼロになってしまいます。
それならば、安全性だけはきちんと確保し、6割ぐらい準備ができたところでチャレンジした方がいいのではないでしょうか。本校では、「6割ゴー」が合言葉です。
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