「倉重英樹のCEO日記「新会社を創る!」」

【13】CEOの時間の半分を費やし社員がハッピーな環境をつくる

経営者は社員の幸せ、社員はお客様の幸せをそれぞれ追いかける

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2008年10月31日(金)

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 「社員がモチベーションを高く保てる環境、という発想にいたったのはどうしてでしょう」

 10月14日、多摩大学の紺野登教授とシグマクシスの新オフィスで対談した際、紺野教授からこう聞かれた。紺野教授は建築が専門だが、オフィス設計と企業戦略との関係性に長く着目されており、PwCコンサルティング、日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)、そして今回のシグマクシスと、私がこれまで作ったオフィスはすべて見ていただいた。

 対談の内容は、企業戦略とオフィスコンセプトの関係から具体的な設計作業まで、多岐にわたったが、中でも紺野先生が興味を持たれたのが、最後に私が言った「結局、社員がモチベーション高く、“Happy”でいられる環境をつくるのが経営者の仕事ですから」というフレーズだった。

 紺野先生との対談内容についてはこちらの記事をご覧いただくとして、今回は企業にとって大切な「社員のモチベーション」についてもう少し掘り下げてみようと思う。

お客様を喜ばせるのは社員である

 よく「お客様」「株主」「社員」の「どれが一番大切か」という議論がされているが、実は考えるべきポイントは「どの順番にフォーカスすべきか」なのではないか、と私は思う。そしてその順番を考える時、経営者は「社員のモチベーション向上」をまず追求すべきだと私は考えている。これは「株主」「お客様」を軽視しているという意味では決してなく、その2者の満足は「社員のモチベーション」なしには実現できないからだ。

 株主は、企業にリターンを期待する。ではそのために必要なのは何かというと、売り上げと成長だ。この2つはお客様が満足しなければついてこないから、株主の期待に応えるためには、まずお客様の期待に応え、お客様を喜ばせることが不可欠となる。喜んでいただけばいただくほど売り上げは向上し、企業は成長するわけだ。

 それでは、お客様を喜ばせるのは誰か。お客様に製品ないしはサービスを提供する企業の「社員」以外の何者でもない。「お客様を喜ばせたい」と思っている立場の社員が、自らの置かれた組織環境に不満を抱えたり、仕事に楽しさを感じられなかったりしたら、どうだろうか。

 お客様を喜ばせるというのは、そんなに簡単なことではないから、まず自ら前向きで明るいエネルギーを放出している社員でなければ、相手を喜ばせることはなかなか難しいだろう。したがって社員が常にモチベーション高く仕事に取り組めている環境、すなわち「社員が“Happy”な環境」を整備していくことこそ、企業がまず取り組むべきことだと思うのだ。

人がやりがいを感じる時

 「社員が“Happy”な環境」というのは、単に「働きやすい環境」ということではない。自らが取り組んでいる仕事に対するやりがいが感じられる環境ということだ。どんな時に人はやりがいを感じるか? それは、自らの能力が伸びたと感じた時、そしてそれを通じて、誰かに貢献できたと実感できた時だろう。

 大きなことであれ小さなことであれ、できなかったことができるようになった時、誰かに「ありがとう」と言われた時、「やってよかった」「楽しかった」と思えた瞬間、人間のモチベーションは一気にあがる。

 自らの成長が実感できて、モチベーションが高まる瞬間が多ければ多いほど、そこには「やりがい」が生まれ、社員のエネルギーはお客様の「喜ぶ顔」をイメージしてますます高まる。そしてもっと自分の能力をあげて、もっと大きな喜びを作り出そうと励むようになる。元気のよい、きらきらと輝く成長のスパイラルがここには生まれる。

 これまでも何度か書いているが、世の中は総サービス化の流れにある。サービスビジネスの特徴は、基本的にそのサービスを「人」が提供すること、そして生産と消費が同時に行われることだ。したがってサービスの品質は、サービスを提供する「人」の能力とモチベーションに依存する。公式でいうと「サービス品質=能力Xモチベーション」だ。

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著者プロフィール

倉重 英樹(くらしげ ひでき)

1942年生まれ、山口県出身。1966年早稲田大学政治経済学部卒業、同年日本IBM入社。1993年取締役副社長。同年、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント(PwCコンサルティング)代表取締役会長に転身。2002年、IBMのPwCコンサルティング買収に伴い、IBMビジネスコンサルティングサービス代表取締役会長に。2004年日本テレコム代表取締役社長。2006年RHJIインダストリアル・パートナーズ・アジア代表取締役社長。2007年RHJインターナショナル・ジャパン代表取締役会長(現職)。2008年5月シグマクシス代表取締役CEOに就任。



このコラムについて

倉重英樹のCEO日記「新会社を創る!」

新しい会社を創っていく時、創業者は何を考え、どのような行動を取るのか。会社のビジョンや社名の決定、資本金の準備、社員採用、ビジネスモデルや管理体制の確立、オフィスと情報システムの整備など、やるべきことは多い。「ビジネスとテクノロジーのアグリゲーター」という新コンセプトの企業、シグマクシスを2008年5月に設立、10月から本格始業した倉重英樹氏が日々の活動を綴る。

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