• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ブレない「自分の軸」を見つけること。

答えは学校での、日々の仕事の中にあったのです

  • 漆 紫穂子

バックナンバー

2008年10月30日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 どの組織も同様でしょうが、学校の運営をしていると、決断を下さなければいけない場面がしばしばあります。そうした時に判断を誤らないためには、自分の「軸」を持つことが大切だと考えています。

 私は、性格的に人の意見に左右されやすいところがあります。ある人の意見を聞いて「それはそうだな」と納得し、次に逆の意見を聞くと、「この人の考えも一理あるな」と思ってしまう。仮説を持って聞き始めたはずなのに、みんなの声を聞いているうちに、自分の軸がブレてしまうのです。人の言うことが気になるタイプなのでしょう。

 昔からいったん決心しても、周囲に意見されると、そのたびに「どうしよう」と迷い、やった後でも「これでよかったのだろうか」とくよくよすることが多くありました。

 あえて人の意見を聞かないようにして一人で決めよう、と思った時もあります。しかし、そうすると皆のやりがいもなくなりますし、心も離れてしまいます。また、生徒に一番近いところの情報を得ずに判断すると、失敗が多くなることに気づきました。

カフェテリアでの昼食

カフェテリアでの昼食(写真:筆者)

 そこで、「いろいろな意見を聞いても心が揺れない、自分の決断の“軸”がブレないようになりたい」と強く意識するようになりました。特に、校長になることが決まってからは、「危機的な状態に陥って精神的に追い詰められても、自分の軸がブレないようにするにはどうしたらいいのだろう」と、真剣に考え続けました。

 自分の軸を見つけるために、様々なことをしました。人の話を聞いたり研修に行ったり…。ある人は、「聞く耳と聞かない耳を持ちなさい」と、またある人は「衆知を集めてから独断即行するのがいい」とアドバイスをしてくれました。しかし私は不器用なので、頭で理解してもなかなか身にはつかず、ずっと悩み続けました。迷う自分が嫌で、「何か悟りのようなものが得られるのでは」と思い、瞑想をしたり富士山に連日登ったり、果ては滝行までやってみたのです。

 しかし瞑想や滝行などによって心境の変化を得て、すがすがしい顔で帰っていく人々を横目に、私の場合は大きな発見がありませんでした。

 そんなある日、はっとするようなことがありました。私は幼い頃から、品川女子学院の4代目校長だった祖父に、何かあるたびに「“心頭滅却すれば火もまた涼し”。超然としていなさい」と言われ続けていたのですが、これを「ありふれた格言」と聞き流していました。ところがある時、この言葉には「その前」があることを知ったのです。

 それは、「安禅必ずしも山水を須(もち)いず」という言葉でした。これは、「安らかな心で座禅するために、必ずしも山水の地に向かう必要はない」という意味なのです。出典は漢詩で、この前の句で「僧が炎暑を遮る木々のない寺で座禅する心境」を述べています。織田信長勢に焼き討ちされた寺の中で、僧・快川が焼死しようとする際に端座してこの句を発したとも伝わっています。

 私はこれを知った時、決断力があると見えた祖父にも、その心の中には様々な葛藤があったのだと気づき、私も外の世界に救いを求めるのではなく校内で、日々の仕事の中から答えを見いだしていくしかないのだと悟りました。

 そうして生徒や教員と接していくうちに、「自分の軸」が少しずつ見えてくるようになったのです。

コメント3

「品川女子学院・漆 紫穂子校長の やる気を高め、人を育てる(秘)メソッド」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授