「ダイバーシティーマネジメントに取り組む女たち」

【40】コクヨグループ

個人の価値観を尊重できる環境づくりを

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2008年10月31日(金)

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 事務用品やオフィス家具の製造販売などを手がけるコクヨグループが、女性総合職の採用をスタートしたのは2000年。1期生が30歳前後に差しかかり第一線で活躍するようになったと同時に、結婚や出産、キャリアアップなど、自分の人生と仕事について真剣に向き合う時期を迎えている。

コクヨ人材開発部の赤木由紀さん

コクヨ人材開発部の赤木由紀さん(写真:吉田 竜司、以下同)

 コクヨグループでは2007年春、そうした女性社員たちが長く働き続けるための支援や風土作りを進めようと、総合職の女性30人に、女性の活躍推進のためのヒアリングを実施した。ところが「彼女たちからは『管理職やロールモデル(お手本になる人)が少ない』といった女性の問題に限らず、長時間労働の改善など、もっと視野の広い課題が上がってきたのです」と話すのは、コクヨ人材開発部の赤木由紀さんだ。

 赤木さんがコクヨに転職したのは、その数カ月前。以前はIT(情報技術)関連企業に勤務していた。以前の勤務先は「男女の別なく活躍できる半面、深夜残業や休日出勤も当たり前という環境で、社員の入れ替わりが激しい会社でした。私自身、将来も仕事を続けていけるのか不安を感じるようになった時に、コクヨが女性の活躍推進に取り組むべく専任担当者を公募していることを知り、転職を決意しました」

すべての社員の多様な働き方を考える

 そんな自身の背景やヒアリングの結果から、女性の活躍推進だけでなく、すべての社員の多様な働き方の実現を根幹の課題と考えるべきという方向性が見えてきたという。経営トップもそれを認識し、2007年8月にはコクヨの黒田章裕社長を委員長とする「ダイバーシティー推進委員会」が発足。グループ企業11社から人事担当者と選出された担当者男女21人がメンバーとなり、赤木さんは同委員会の事務局を専任で担当することになった。

 メンバーたちはまず、最終的な到達目標をどこに見据えるかを時間をかけて話し合った。その結果、「多様な価値観を認め合い、どんな人でもどんな時でも生き生きと活躍できる環境作りを進めることで、企業の発展につなげていく」という意思を共有。そして2008年1月、事業計画発表会の場で黒田社長がそのメッセージを全社員に発信し、ダイバーシティー推進の本格始動を表明した。

 ダイバーシティー推進委員会では最終目標の到達に向けて、ダイバーシティー推進に取り組む意義の共有、両立支援制度の構築・浸透、多様な社員の活躍支援、ワークライフバランスの実現という、4つの経営課題を掲げた。兼任でこれらの課題に当たるメンバーたちの負担を減らすため、同委員会は教育研修、イベント企画、社内広報の3つの分科会に分かれて活動している。

 まず着手したのが、経営課題の成否のカギを握る管理職の意識改革。キックオフ宣言から間もなくの1月下旬、ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんを招いて、管理職向けのセミナーを実施した。当初はダイバーシティー推進の意義をよく理解できていない人や、両立支援制度は女性のための支援制度と認識している人も少なくなかったが、セミナーを通じて理解が深まっているという。

 赤木さんは、「『出産休業や育児休業は事前に予定も分かり、準備もできる。しかし、団塊ジュニア世代の管理職は、介護はいつ自分の身に降りかかってくるか、そしていつまで続くか分からない問題。両立支援は、決して女性社員のためのものではない』という小室さんのメッセージから、当事者意識を強めたようです」と話す。セミナーの好評を受け、これまでに大阪と東京で計4回、管理職だけでなく一般社員も含めて延べ1000人以上が参加したそうだ。

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著者プロフィール

田村 知子(たむら・ともこ)

田村 知子

1992年、杉野女子(現杉野服飾)大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスエディターになる。現在は「日経ビジネス」で「心と体」欄の企画・編集を担当するほか、主に健康、環境、育児分野の書籍・雑誌制作に携わる。最近の編書は『グッド・ニュース−持続可能な社会はもう始まっている』『セドナ 聖なる大地』(ナチュラルスピリット)。(写真:厚川 千恵子)



このコラムについて

ダイバーシティーマネジメントに取り組む女たち

 企業の女性活用推進室などで、ダイバーシティー(多様性)マネジメントに取り組む女性管理職たち。このコラムでは、彼女たちへのインタビューを通じ、活用推進の実態や課題、現場の声などを聞いていく。 女性リーダーのための記事は「NBonline Women at Work」へ。

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