「西山昭彦の“企業内プロ”の行動学」

出世だけにとらわれず、自分を信じて平静を保つ

西山流:感情のコントロール法

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2008年11月4日(火)

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 喜怒哀楽の激しい“ブレ”は、職場では無用の長物だ。中でも、「怒」と「哀」が激しく感情のままに動いてしまう社員は、扱いに困る。

 筆者が見てきた中では、会議中に意見が食い違った時に腹を立て、プイと外へ出ていってしまったきり戻ってこなかったり、ちょっと注意しただけで泣き出し、トイレに駆け込んでしまう人がいた。

 そうなると、迷惑するのは周囲の方だ。相手に出ていかれてしまったら、話は中断せざるを得ず、時間のロスが生じる。心情的にも、自分が悪者にされたような訳の分からない気分の悪さを感じてしまう。

 以後、周りの人はそうした相手とは関わり合いになることを避けるか、腫れ物に触るように扱うようになるだろう。

 その結果、人からまともに相手にされなくなったら、損するのは自分の方だ。手厳しい指摘であっても、人から注意を受けることは、自分に欠けているものに気づく好機になる。食い違う意見でもとことん戦わせることで、新しい視点が生まれるきっかけになるかもしれない。こうした機会が失われることは、自分の成長を遅らせる。

平静な心を保ち、仕事の意義を考える

 企業内プロを目指すなら、最低条件として自分の感情のコントロール術は身につけるべきだ。それは将来にも大きな影響を与える。些細なことにオタオタしていては、チームをまとめることはできないと判断される。自分が感情的なタイプだと思うのであれば、意図的に平静を保てる方法を模索することだ。

 上司側にも、こうした心構えは必要だ。感情をうまくコントロールできない部下を持て余し、その行動に自分まで振り回されているようでは失格だ。相手が突然怒り出したり、泣き出したりしても動じない。「ダメ部下」と判断はしても腫れ物に触るような扱いをせずに、その部下を使いこなす力量を示す必要がある。

 筆者は、ここ20年ほど怒った経験がない。意識してそう心がけたわけではなく、自然体で過ごしているうちに、大概のことには心を乱されることがなくなった。若い頃には腹を立てることもあった気もするが、それが「エネルギーのムダ使いであり、損」だと気づいてからは、「怒り」の感情が薄れてしまった。

 その理由について、以前ある企業の女性課長に「自分に自信があり、他の人は関係ないと思っているからではないか」と指摘されたのだが、後半はその通りだと思う。

 ちなみに筆者はサラリーマン社会で評価され、出世することは喜ばしいことだけれども、それを“人生の目的”にしてしまってはいけないと考えている。

 出世をしたい、人より偉くなりたいという野心は、自分を発奮させるエネルギー源になるだろう。しかし一方で、出世レースで勝ち抜く気持ちが過度になると、人と自分とを比較することになり、羨んだり妬んだりという、負のエネルギーも多大に消費する。

 羨望や妬みというマイナスのエネルギーよりも、自分を発奮させるプラスのエネルギーをより多くキープできるのであれば、それを原動力にして頑張るのもいいだろう。しかし、消費ばかりが大きくマイナスに作用するならば、悪影響しか残らない。ある時筆者は、専務職で銀行を退社した人と飲む機会があったが、その時酔っぱらった彼が「なんでアイツが社長なんだ」と怒っていた姿が思い起こされる。彼には、負のエネルギーが残ってしまったのだ。

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著者プロフィール

西山 昭彦(にしやま・あきひこ)

西山 昭彦

一橋大学社会学部卒。東京ガス入社後、ロンドン大学大学院政治経済学科およびハーバード大学政治学大学院に留学。社内ベンチャーで新会社を設立後、法政大学大学院社会科学研究科博士後期課程を修了し、経営学博士に。2004年から東京女学館大学教授、東京ガス西山経営研究所長に就任。人材開発、勉強法、キャリアデザインなどをテーマに、執筆や講演を行う。趣味は海外旅行、グルメ。著書に『企業内プロフェッショナルの時代』(プレジデント社)、『こま切れ時間活用術』(日本実業出版)、『女たちは管理職をめざす』(中経出版)、『40代で始める「最終戦略」ノート』(こう書房)など。(写真:いずもと けい)



このコラムについて

西山昭彦の“企業内プロ”の行動学

企業でプロとして仕事をするためには、どのように振る舞えばいいか。社内外の人間関係の構築や仕事の進め方について、多数のビジネス書を手がける経営学博士の西山昭彦が指南する。

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