「品川女子学院・漆 紫穂子校長の やる気を高め、人を育てる(秘)メソッド」

品川女子学院・漆 紫穂子校長の やる気を高め、人を育てる(秘)メソッド

2008年11月13日(木)

目に見える効率を追いすぎると、大切なものを見失う。

チームの力は「足し算」。ムダなものは何もないのです

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 連載の第2回目で触れましたが、私たちは「改革を信じる気持ち」が消えないうちにすぐやる、そしてやり続ける、ということを大切にしてきました。いいと思ったらすぐに取り入れ、徹底してやるのです。「一日も早く改革を成功させなければ」という焦りもありました。

 時にそれが度を超して、失敗したこともあります。例えば、効率化を求めるあまり会議を大幅に減らしたことで、かえって組織をぎくしゃくさせてしまったことがありました。なぜうまくいかなかったのでしょうか。

 本校では学校改革を進める過程で、様々な無駄を省き、効率化を図ってきました。そうすることでたくさんの成果を生み出していたので、会議においても無駄をなくそうと考えたのです。

 その頃の私たちは、会議にあまりいいイメージを抱いていませんでした。「会議に時間を取られている。無駄な時間を過ごしている」と感じる時もありました。

茶道の授業。留学生も交じってお茶をたてる(写真:筆者、以下同)

茶道の授業。留学生も交じってお茶をたてる(写真:筆者、以下同)

 学校という職場は、1人がいくつもの役割を持つため、出るべき会議も多くなります。毎朝、全員でその日の打ち合わせをするほか、週1回の職員会議、部署の会議、教科の会議、学年会議…。朝は10分程度で終わるものの、ほかの会議は短くても1時間くらいはかかります。

 各自の教育論はそれぞれに正しくて、話していると平行線になることも多いため、放課後の会議などは議論が白熱して、気づけば数時間たっているということも少なくありませんでした。

 会議で語り合うのはいいけれど、その間、生徒からの質問に答えられない、クラブ活動を見られない、悩みごとの相談にも乗ってあげられない…。「これではもったいない。会議より生徒といる時間の方が大事だ」。そう考えて会議自体を思い切り減らし、内容も変えました。

 まず毎朝の全体打ち合わせは原則廃止、職員全員での会議は月1回に。日頃の連絡や伝達事項はイントラネットやメールを活用することにして、会議の開催回数を従来の3分の1程度に減らしました。会議の中身も連絡や報告を極力減らし、審議の必要なものにしぼり、かつ発表者は分刻みの持ち時間制とし、予定時間が全員に分かるようホワイトボードに記入しました。

 会議の回数を減らし短くしたことで、確かに効率化はされました。しかしその後、組織としてうまく機能しなくなるようなことが起きてきたのです。

 例えば、以前は行事の段取りなどを参加者全員で読み合わせしていました。しかし当時は多くの人が、「各自が黙読すれば分かることなのに、どうしてわざわざ時間を取って皆で読む必要があるんだろう」と思っていました。そこで会議での読み合わせをやめて、イントラネットで各自が読むということにしたのです。

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著者プロフィール

漆 紫穂子(うるし・しほこ)

漆 紫穂子 品川女子学院校長。1961年東京都生まれ。中央大学文学部卒業、早稲田大学国語国文学専攻科修了後、都内の私立中高一貫校の教師を経て、1989年に品川女子学院へ。学校改革に参加し、7年間で中等部入学希望者数が60倍になった。2006年4月に父の跡を継ぎ、第6代校長に就任。趣味はトライアスロン。品川女子学院のウェブサイトで「校長日記」を執筆中。近著に、『女の子が幸せになる子育て』(かんき出版)がある。


このコラムについて

品川女子学院・漆 紫穂子校長の やる気を高め、人を育てる(秘)メソッド

学校再生に成功した品川女子学院6代目校長・漆紫穂子さんに、人材の育て方・伸ばし方について、学校教育に関する様々なエピソードを交じえてお話しいただく。また学校再生や現在の学校経営を通して、リーダーや経営者が持つべきビジョンについてもお聞きする。

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