連載「自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術」を終えた著者の深澤真紀さんに、連載を始めた経緯や「人間関係をメンタルではなくメンテナンスで考える」という新しい発想についてお聞きした。
(聞き手:日経ビジネス オンライン編集委員 大塚 葉 構成:橋中 佐和)
―― ほぼ1年、50回の連載を終えてのご感想からお聞かせください。
深澤 「メンテナンス術」という考え方は、今あるビジネス書や自己啓発書とは逆の発想でした。このため、どのくらいの読者に受け入れてもらえるかと心配していたのですが、予想以上の多くの方に受け入れていただけてよかったです。
「読んで楽になりました」とか「こう考えればいいのか」という感想をいただいて、うれしかったですね。このウェブサイトでの連載は読者からの反応がダイレクトに返ってくるので、読者の意見を取り込みながら記事を書いていけましたし。
それから、自分自身としても「メンテナンス術」を連載することで、この考え方をあらためて実践してみて、使えるなと実感しました。
―― 「メンテナンス術」という言葉を使った経緯を改めてお聞きします。連載を始める時に伺ったのは、「メンタルではなく、メンテナンスで考えよう」というご提案でしたね。

深澤真紀さん (写真:花井 智子、以下同)
深澤 以前は私も「まずはメンタルが大事だ」と考え、「相手と分かり合おう」としていました。でも、こうしたメンタル重視の考え方は必ずしもうまくいかないことが分かってきたんです。「人間関係や仕事などに対して、すべてに真剣に関わることは必ずしもいいことではないのでは?」「真剣に考えすぎて、むしろ失敗することもあるのでは?」と思うようになりました。
そこで仕事やプライベートの人間関係の中で、時間的にも労力的にも多くの割合を占める部分は「メンテナンス」という考え方で処理できるんじゃないかなと発想したんです。
私はもともとパソコンやマンションのメンテナンスが好きですが、「メンテナンスという考え方は、パソコンや家だけではなく、いろんなことに使えるかもしれない」と思ったんです。パソコンならウイルス対策ソフトを入れるとか、家なら台風が来るのに備えて雨戸を閉めるとか。――自分自身が生きるうえでも、そういう考え方が必要だと思ったわけです。
―― パソコンも日々メンテナンスしておけば、ある日突然壊れて買い換えなければいけない、ということにはならない。自分自身にも、日頃からそういう目配りをするということですね。
深澤 はい。パソコンの場合なら、普段からデータのバックアップを取っておけば、急に故障しても対処はできますよね。そういう管理も必要です。よく携帯電話をなくして、登録した情報が全部なくなったと嘆く人がいますが、あれはバックアップをとるのが当たり前だと思っている私からすると、すごく不思議なんです。
同じように、人間関係や仕事もダメになった時のことを前提にメンテナンスするようにしています。そうすれば、意外となんとかなるんですよ。
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