いまひとつ、やる気が感じられない部下の仕事ぶりを見ながら、「どうしたら頑張ってくれるんだろう」と歯がゆく思っている上司の方も多いかもしれませんね。
日々生徒に接していると、子供たちのやる気のスイッチが入る瞬間に立ち会えることがあります。どんな時にスイッチが入るかというのは人それぞれだと思いますが、私が学校でしばしば目にしてきたものを3つ挙げてみます。
1) できないと思っていたことができた時
2) これはみんなのためになると思えた時
3) 自分のやりたいこと、目標ができた時
こんなきっかけがあると、見違えるほどぐんと伸びる子がいます。私にとっては、そうした彼女たちの姿を見る時こそが、スイッチの入る瞬間です。今回はこの3つについて、エピソードを紹介しながら、どのようにスイッチが入りやすい環境を整え、その瞬間を逃さないようにサポートをしていくかについてお話します。
やる気のスイッチが入る瞬間のまず1つ目は、「できないと思っていたことができた時」です。
こんなことがありました。国語の教員をしていた時、古文の授業で『枕草子』の暗唱をしていました。私が「この時間内に一段全部を覚えましょう」と言うと、多くの生徒は「そんなの無理、できない」と尻込みします。確かに、古語はなじみのない言葉なので一人でやろうとすると難しいのですが、「みんなで立って声を出して読む」「チーム戦などでゲーム性を持たせる」などの工夫をすると、不思議なことに、苦手な子も含めクラス全員が本当に一校時内に覚えてしまうのです。
ある時、クラス全員で立って読むと一通り暗唱できるようになったので、「今度は1人ずつやってみよう」と、1人の子を指名しました。その子は古文がそれほど得意でも好きでもなく、「当たっちゃった」と困った顔をしていたので、「1番目の人は緊張して当たり前。でも、もしできたとしたらどう?」と声をかけました。
周りの子も、今みんなで一緒に覚えたばかりなので、自分たちの代表を応援するようなムードになって見守りました。そして、当たった彼女がいざ暗唱を始めると、スラスラと一度もつかえず最後までできたのです。クラス中から「わあ、すごーい」と拍手がわき起こりました。
本人は、とてもできるとは思っていなかったのでしょう。びっくりして顔を赤くし、照れたように、そして、とても満足そうな笑顔を浮かべていました。できないと思っていたことが、やってみたら思いがけずできたうえ、友達みんなが拍手して褒めてくれた。大人が聞けば些細な出来事のようですが、彼女にとっては、自信につながる成功体験になったのです。
この生徒はこれをきっかけに、すっかり古文が好きになり、自分からどんどん予習を進め、少しでも分からないところがあると質問に来るようになりました。これは中等部でのことでしたが、高等部へ行っても彼女の情熱は衰えず、古文では常にトップクラスになりました。
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