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「やる気のスイッチ」を入れるには

成功体験、自分の目標、「誰かのために」が人を動かすのです

  • 漆 紫穂子

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2008年11月27日(木)

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 いまひとつ、やる気が感じられない部下の仕事ぶりを見ながら、「どうしたら頑張ってくれるんだろう」と歯がゆく思っている上司の方も多いかもしれませんね。

 日々生徒に接していると、子供たちのやる気のスイッチが入る瞬間に立ち会えることがあります。どんな時にスイッチが入るかというのは人それぞれだと思いますが、私が学校でしばしば目にしてきたものを3つ挙げてみます。

1) できないと思っていたことができた時
2) これはみんなのためになると思えた時
3) 自分のやりたいこと、目標ができた時

 こんなきっかけがあると、見違えるほどぐんと伸びる子がいます。私にとっては、そうした彼女たちの姿を見る時こそが、スイッチの入る瞬間です。今回はこの3つについて、エピソードを紹介しながら、どのようにスイッチが入りやすい環境を整え、その瞬間を逃さないようにサポートをしていくかについてお話します。

 やる気のスイッチが入る瞬間のまず1つ目は、「できないと思っていたことができた時」です。

 こんなことがありました。国語の教員をしていた時、古文の授業で『枕草子』の暗唱をしていました。私が「この時間内に一段全部を覚えましょう」と言うと、多くの生徒は「そんなの無理、できない」と尻込みします。確かに、古語はなじみのない言葉なので一人でやろうとすると難しいのですが、「みんなで立って声を出して読む」「チーム戦などでゲーム性を持たせる」などの工夫をすると、不思議なことに、苦手な子も含めクラス全員が本当に一校時内に覚えてしまうのです。

 ある時、クラス全員で立って読むと一通り暗唱できるようになったので、「今度は1人ずつやってみよう」と、1人の子を指名しました。その子は古文がそれほど得意でも好きでもなく、「当たっちゃった」と困った顔をしていたので、「1番目の人は緊張して当たり前。でも、もしできたとしたらどう?」と声をかけました。

 周りの子も、今みんなで一緒に覚えたばかりなので、自分たちの代表を応援するようなムードになって見守りました。そして、当たった彼女がいざ暗唱を始めると、スラスラと一度もつかえず最後までできたのです。クラス中から「わあ、すごーい」と拍手がわき起こりました。

 本人は、とてもできるとは思っていなかったのでしょう。びっくりして顔を赤くし、照れたように、そして、とても満足そうな笑顔を浮かべていました。できないと思っていたことが、やってみたら思いがけずできたうえ、友達みんなが拍手して褒めてくれた。大人が聞けば些細な出来事のようですが、彼女にとっては、自信につながる成功体験になったのです。

 この生徒はこれをきっかけに、すっかり古文が好きになり、自分からどんどん予習を進め、少しでも分からないところがあると質問に来るようになりました。これは中等部でのことでしたが、高等部へ行っても彼女の情熱は衰えず、古文では常にトップクラスになりました。

コメント9件コメント/レビュー

先日のテレビの特集でこちらの学校の取り組みについて知りました。とても素晴らしい取り組みをされていらっしゃると感動致しました。それと同時に、私立の学校だから出来るような環境作りであることも否めないと感じました。私は地方出身ですが、地方には関東のような「私立」学校至上主義がありません。やはりこのような格差は子どもたちの学力、ひいては人生にまで影響を及ぼすのではないかと危惧しています。国家レベルでの教育制度の見直し、都心や地方に関わらず、平等な教育が受けられるような取り組みを期待しています。(2008/11/28)

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先日のテレビの特集でこちらの学校の取り組みについて知りました。とても素晴らしい取り組みをされていらっしゃると感動致しました。それと同時に、私立の学校だから出来るような環境作りであることも否めないと感じました。私は地方出身ですが、地方には関東のような「私立」学校至上主義がありません。やはりこのような格差は子どもたちの学力、ひいては人生にまで影響を及ぼすのではないかと危惧しています。国家レベルでの教育制度の見直し、都心や地方に関わらず、平等な教育が受けられるような取り組みを期待しています。(2008/11/28)

毎回内容が濃く、とても参考になります。これほど人の育成を考え、実践されている方がいらっしゃることが、経験・知識とも浅薄な私にとっては驚きです。漆さんの大ファンになってしまいました。学生に戻って(かつ女性になって?!)品川女子学院に入学したいと、半ば本気で思いました。(2008/11/27)

自らを鼓舞できる大人が減りつつある時代を嘆いていても仕方が無いのですが、せめて今の世代の子供がそうならない様にしっかりと道標を付けることが私たちの世代に託されている事だと改めて思う記事でした。(2008/11/27)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長