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一人ひとりが輝く場をつくる。

各自が持ち味を生かせば、チームの力は倍増します

  • 漆 紫穂子

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2008年12月4日(木)

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 受験生の親御さんから「品川女子学院の生徒さんは明るく活発な方が多いようですが、うちの子はおとなしくて自分から前に出ないんです。そんな子でもやっていけるのでしょうか?」と質問されることがあります。

 確かに新入生にアンケートを取ると、小学校の時に生徒会長や学級委員など、リーダーの立場を経験したことのある子が半数近くいました。しかし逆に見れば、半数はそういう経験のない子が集まっているとも言えます。

 在校生を見ていても、力があっても自分からは手を挙げない子、「縁の下の力持ち」が好きで、表に出るのを嫌がる子、みんなでやる前向きな雰囲気をうっとうしいと感じる子など様々です。

 でも、それでいいのではないでしょうか。一人ひとりにその子なりの持ち味があり、それを生かして役割分担ができるからこそ、お互いがお互いの役に立てる。チームとしての力が出るのだと思います。

作法室で茶道の授業

作法室で茶道の授業(写真:筆者、以下同)

 こんなことがありました。企業経営者を招いて講演をしてもらった時のことです。お話が終わった後、係の生徒が控え室でその方に相談を始めました。

 「自分は、本当はリーダーになりたかったが、選挙で負けて副リーダーになった。でも、実際の仕事はほとんど自分がやっているので、どうしても納得できない」というような内容でした。

 その経営者の方は「組織は役割分担で動いていて、リーダーだけでは成り立たない。フォロアーの仕事がどんなに意義のあるものか」ということを、自分の会社を例に取って具体的にお話ししてくださいました。相談をした生徒はそれを聞くと、すっきりとした顔をして「リーダーを輝かせることで、みんなのためになる仕事をしてみる」と言って帰って行きました。

 「一人ひとりに光を当てる」。これは、本校の理事長がしばしば口にする言葉です。先ほどの生徒は、人を輝かせる仕事をすることで、自分もまたその人とは違った輝きを発するようになりました。「太陽の光」があり、「月の光」がある。いろいろな輝き方があるのだと思います。また、昼と夜があるように、同じ一人の子でも輝く時もあれば輝かない時もあります。

 私自身が、まさにそうでした。学生の頃の私は何事にも飽きっぽく、モチベーションが低い子で、家でゴロゴロしていることも多かったのです。当時、仕事・子育て・親の世話という複数の仕事をこなし、“やる気のかたまり”のようだった母に、「あなたのように人生の時間を無駄にしている人は、見ているだけで嫌になる」と言われたこともありました。

 そんな私にスイッチが入ったのは、本校の副校長を務めていたその母が癌になり、「あと6カ月」と余命宣告された時でした。…皮肉なことに、母は“やる気のスイッチ”の入った私の姿をほとんど見ることなく他界しました。

 さて、話を「一人ひとりを輝かせる」に戻しましょう。

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