「深澤真紀の平成女子図鑑」

【10】「干物女」と「ステキ女子」

マンガ「ホタルノヒカリ」に見る新しい女性像

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2009年2月20日(金)

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 今回は「モテない系女子」「猛禽女子」に続き、マンガやエッセイで話題になった女子を取り上げます。

 「ホタルノヒカリ」という少女マンガ(ひうらさとる著、講談社「Kiss」で2004年から現在も連載中、コミックスも刊行)があります。綾瀬はるかの主演で2007年にテレビドラマにもなったので、ご存じの方もいるでしょう。マンガもドラマも面白いので、機会があればご覧いただきたいと思います。

 ここに出てくるのが「干物女(ひものおんな)」と「ステキ女子」です。「干物女」は「女子」とすら呼んでもらえていないところがポイントです。この連載では、いつもは「○○女子」と紹介しますが、今回は原作通り「干物女」として紹介します。

 主人公の雨宮蛍は20代のOL。会社ではきちんとしていますが、家に帰ればジャージにちょんまげアタマ、そしてごろごろしながらビールを飲むのが楽しみ。彼氏は何年もいなくて、私生活が干からびてしまった「干物女」。

 この蛍が、久しぶりに恋をするものの、「干物女」を上手に卒業できないし、彼にもそんな自分を知られたくなくて…という話です。

意地悪もしないし優しい「ステキ女子」像

 その「干物女」の恋のライバルが、いつもステキにしていて、誰にでも気が使える「ステキ女子」です。ドラマでは国仲涼子が演じていました。

 この作品の非常に面白かったところは、「ステキ女子」の描かれ方でした。

 今までのマンガやドラマだと、「干物女」タイプはダメなところも含めて最終的には、イケメン男子に愛されてつき合えるようになります。一方で「ステキ女子」タイプは、美人ではあっても意地が悪いとか、お金持ちで人の心が分からないとか、人を差別するとか、マイナスポイントがあるものとして描かれがちでした。

 ところがこの作品の「ステキ女子」は、本当にステキなんです。ちゃんと優しいし、恋のライバルだからといって意地悪をするわけでもなくフェアです。

 少女マンガの世界では40〜50年前から、「お金持ちで美人だけど意地悪なお嬢さんが貧しいヒロインをいじめるけれど、いつかヒロインを救うヒーローが現れる」という物語がずっと続いてきました(美人で才能があるのに意地悪じゃなかったのは、「ガラスの仮面」の姫川亜弓くらいです)。

 これはドラマの世界にも引き継がれ、今でもこういう物語構造のマンガやドラマは作られています。

 つまり、「お金持ちで美人の彼女よりも、平凡でつまらない私の魅力を分かってくれる彼」という物語は、女性にとって気持ちのいい幻想なのです。

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著者プロフィール

深澤 真紀(ふかさわ・まき)

深澤 真紀

コラムニスト・編集者。企画会社タクト・プランニング代表取締役社長。1967年、東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。卒業後、いくつかの出版社で編集者をつとめ、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立。日経ビジネスオンラインで2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞し、国内だけはなく世界で話題になる(『草食男子世代−平成男子図鑑』(光文社知恵の森文庫)に収録)。日経ビジネスオンラインの連載をまとめた『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(光文社)、『考えすぎない生き方』(中経の文庫)、『女はオキテでできている―平成女図鑑』(春秋社)など著書も多数。そのほかの連載に、「深澤真紀の平成働き女子のための処世術」、「深澤真紀の草食の時代」、「草食男子も悪くない」など。



このコラムについて

深澤真紀の平成女子図鑑

今の時代を女として生きるのは、幸せでしょうか? それとも、大変なことでしょうか? 「何が何でも男に奢られたがる女子」「女性誌に踊らされる女子」「世間のことは分からないけど、社会のことは分かっている女子」「笑いに生きる女子」…。平成にもいろいろな女子が生きています。自著『平成男子図鑑』で「草食男子」「リスペクト男子」などを「発見」した深澤真紀が、満を持して「平成女子」の姿を語ります。

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