「「跡取り娘」の経営戦略」

手頃な価格で国産にこだわる、本格派シャツメーカー

メーカーズシャツ鎌倉2代目 貞末奈名子さん(前編)

バックナンバー

2009年4月1日(水)

1/4ページ

印刷ページ

 「いらっしゃいませ」

 メーカーズシャツ鎌倉常務取締役の貞末奈名子(さだすえななこ)さんは、会社の発祥の地である鎌倉本店で、笑顔で迎えてくれた。メーカーズシャツ鎌倉は、貞末さんの両親である、貞末良雄さん、タミ子さんが立ち上げた「年間30万枚のシャツ」を売る、日本一のシャツのスペシャリティーストアとして注目されている。

 貞末さんが着ているのはもちろん自社製シャツ。女性用でフリルがついているが、ブラウスではなくあくまでレディース用もシャツである。ボトムはパンツで、キリリとした印象。店舗で働くほかの販売員の女性も、皆イメージが似ている。

メーカーズシャツ鎌倉常務取締役の貞末奈名子さん。鎌倉本店で(写真:山田 愼二)

 「シャツを売るというのは、カジュアルショップではないので、上品な美しい女性としての姿勢でいてほしい、といつも指導しているんです」

 しばらく店舗にいると、入ってくるお客のほとんどがリピーターだと分かるが、顧客相手に販売員の女性たちが熱心でしっかりした対応をしている。気持ちのいいお店…。現場に来てそう思える会社は、経営者のポリシーが血液のように隅々まで浸透している証拠だ。

 「うちの販売員はほとんど正社員です」と貞末さんに言われて驚いた。現在、メーカーズシャツ鎌倉の社員は73人。東京、横浜を中心に直営店は11店舗なので、各店舗を3人で回す体制になっている。今のご時世、社員の社会保障の負担だけでも大変なことだが、正社員にこだわるのは訳がある。

 「モノを売ってレジを打つだけではなく、お客様に作り手の思い、商品の良さ、心の部分をきちんと伝えてほしい。そんな人材を育てるのは、1週間程度の研修でお店に立つアルバイトでは無理なのです。長く勤めて、一緒に会社を盛り上げてほしい」と貞末さん。社員の8割が女性。店舗スタッフは大卒が多く、4年前から毎年10人ほどの新卒採用もしている。

 メーカーズシャツ鎌倉は1993年に創業し、現在は商品企画や在庫管理を担当する会社、サダ・マーチャンダイジング・リプレゼンタティブを父親の良雄さんが、そして母親のタミ子さんが販売のメーカーズシャツ鎌倉の代表を務める。貞末さんは、母親の会社の2代目になる。

 鎌倉本店の広々した店内にディスプレーされているのは、白、ボーダー柄に襟だけが白いクレリックシャツ、上質そうなしっかりした綿のパステルカラーも色とりどりに揃っている。

鎌倉本店の店内には、喫茶スペースも併設している
(写真:山田 愼二)
画像のクリックで拡大表示

 リピーターが多い理由は、商品を見ていて分かった。驚くほどバラエティーに富んだシャツを展開している。トラッドのシャツは「定番」というイメージを裏切り、生地、細部まで凝ったデザインは、すべて微妙に違う。

 「実はうちのシステム、商品の提案スタイルが、普通のアパレルさんとは違うのです。1つの形を少量でしか作らないのです。定番商品は一応あるのですが、いろいろなものを作り続けて、毎週、商品を投入していきます」

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。


関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント0件受付中
トラックバック
著者プロフィール

白河桃子(しらかわ とうこ)

白河桃子

1961年東京生まれ、慶應義塾大学文学部卒業。結婚、少子化など女性のライフスタイルに関する取材を数多く手掛る。著書に『「キャリモテ」の時代』(日本経済新聞出版社)、『跡取り娘の経営学』(日経BP出版センター)、『「婚活」時代』(ディスカヴァー・トゥエンティワン )など。



このコラムについて

「跡取り娘」の経営戦略

 以前は、長男や娘の婿が家業を継ぐのが常識だった。しかし最近では、娘が自ら家業を継ぐケースが増えている。このコラムでは、こうした「跡取り娘」たちの経営戦略をインタビューする。 女性リーダーのための記事は「NBonline Women at Work」へ。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内