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不況こそ好機、「消費者を裏切らない品作り」が信頼を生む

メーカーズシャツ鎌倉2代目 貞末奈名子さん(後編)

  • 白河桃子

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2009年4月15日(水)

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 (前編から読む)

 メーカーズシャツ鎌倉2代目の貞末さんが父と大喧嘩をしたのは、数年前のことだ。父は大きなショッピングセンターへの出店を計画していたが、貞末さんは「ここでは売れない」と強硬に反対した。

 新店舗の成否は、会社の進退を賭ける大博打だ。納得しない出店はしたくない。たとえ創業者である父に反発しても…。

メーカーズシャツ鎌倉常務取締役の貞末奈名子さん。鎌倉本店の前で(写真:山田 愼二、以下同)

 「売れなくても、不動産会社が保障してくれるわけではない。担当者は出店を誘う時はいいことばかり言いますが、採算が取れない出店の厳しさはよく分かっていますから」

 満を持して出店したものの、成績が他の店舗よりも芳しくなく、2店舗退店したという苦い経験がある。大きな駅で、人がたくさん来るいい場所だと思っても、購入につながらない場合もある。その2店舗の近隣のファミリー層のお父さんは、5000円近くするシャツを買わなかったのだ。

 「代わりに、貞末さんが新しい出店先を探す」ということを条件に、父は貞末さんの意見を入れ、出店計画を見合わせた。自分の足で歩き回り、納得のいく場所を見つけた貞末さん。それが、2007年に出した新宿通り沿いの路面店だ。今も満足のいく売り上げを上げている大事な店だ。反対に、貞末さんが父と喧嘩をしてまでも出店を断ったショッピングセンターは、今厳しい状況にあるという。跡取り娘の勘が勝ったのだ。

 貞末さんに新宿の路面店の場所を紹介してくれたのは、あるコーヒーのチェーン店だった。店の担当者に出店戦略の話を聞くと、意外にもシャツの販売と相通じるところがあった。

男性用、女性用シャツだけでなく、ネクタイなども扱う
画像のクリックで拡大表示

 「コーヒーの売れる場所は、決まっているそうです。コーヒーは嗜好品なので、そこにお金を使うか、使わないか、お客様の嗜好がはっきりと出る。そのコーヒー店の場合、全国で一番売れるのが新宿、2番目が横浜の駅前だというんです」

 嗜好品という点が、メーカーズシャツ鎌倉のコンセプトに似ている。コーヒーもシャツも、ただ人が多いから自動的に売り上げも上がる、というわけではない。「要はバランスです。人が多い場所でないと、売り上げがとれない。でも、そこにどんな人たちがいるかも重要なのです」。

 自分たちの顧客を見失わないことが大切なのだ。しかし、ショッピングセンターばかりで、なぜデパートに出店しないのか? そう聞くと明快な答えが返ってきた。「自分たちの作った製品を、責任を持って売り切る。“命を懸けて”売っていくんです。それが私たちのやり方です」。

 百貨店では、商品を卸しても売れなかったら返品されるシステム。販売が人任せになるので、「自分たちの商品を自分たちで売る」という会社のコンセプトに反する。

 「命を懸けて売る」という言葉を口にした時、終始穏やかな話しぶりだった貞末さんの目の光が強くなった。これまでの取材でも何度か見た、自分の家業を守ろうとする強い意志を秘めた、跡取りの目である。

 だが、会社が大博打を打ってでも出店したかった場所がある。丸の内丸ビル店だ。家族一丸となって実現したい悲願だった。

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