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対人恐怖症、病気。コンプレックスによる現実逃避とカミングアウト

  • 北湯口ゆかり

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2009年6月15日(月)

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 オンラインゲームに興じるプレーヤーは、どこにでもいる一般人だ。ただゲームに興じているように見えても、その実、心の中に痛みやコンプレックスを抱えていることも多い。

 アミにもまた、人には話せないコンプレックスがあった。

 オンラインゲームという仮想世界では、ゲームの中で交わされる言葉と、プレーヤーが操作するキャラクターの行動が、プレーヤー本人を判断するすべてだ。好意的に解釈すれば、容姿や肩書ではなく、その人の「人格」だけで勝負できるコミュニケーションスタイルだと言える。

 しかし実際は、この「人格」が曲者だ。

 「ネット人格」という言葉を聞いたことがあると思う。「本来の自分とは違い、ネット上でだけ出てくる、装った性格」だ。その人格は、その人のまるっきりの虚像というよりも、もともと持っている性格の一部が誇張されたり、隠されたりした結果である場合が多い。

 ネットに限らなくても、「あの人は外面がいい」などと、時によって性格にギャップが出る人もいる。そもそも誰かと接する際、ありのままの自分を開示することは難しい。遠慮や警戒、見えや気取り、他人の期待に応えようとするサービス精神や背伸びなど様々な感情が入り混じり、本来の自分とは多少ズレた形でコミュニケーションを取ることもある。

 それでもあえて「ネット人格」と言われるのは、ネット上のコミュニケーションには、「匿名性があるために、都合よく自分を演出してもバレない」という特異性があるからだ。

ネットで現実逃避ができることも

 現実のつき合いでは、「素の姿」と「装った姿」のズレは、親しくなるにつれ露呈する。しかしネット上では、本来の相手の姿は見えない。あるのは「文字での会話の印象やキャラクターの行動を見て、形作ったイメージ」だけだ。

 かなり親密に話せる間柄になっても、ネットを介して顔を合わせずに交流している間は、それが相手の「素」なのか「装い」なのかは分からない。分からないからこそ、警戒心がぬぐいされない。

 その一方で、ネット上では、「ここだけの打ち明け話」がしやすいとも言える。よく知っている友人や親族に、顔を見られながら相談するのは照れくさいものだが、顔の見えない相手には悩みを打ち明けやすいのだ。

 オンラインゲームのコミュニケーションには、「ある程度の距離までは急速に近づけるが、それ以上踏み込むには苦労する」というボーダーラインが生まれる。

 ゲーム内で適度な距離を保っているうちは、人間関係はシンプルだ。時間が合えば一緒に遊び、会話を楽しむ。気が合わない相手とはつき合わない。現実の世界で感じるしがらみに比べれば、ずっと割り切りやすい関係がそこにある。

 ところがお互いの距離がもっと近づくと、問題が複雑になる。仲良くなれば相手に興味を持ち、相手のことが知りたくなる。同時に、仲良くなったからこそ、「本当の自分を知られたくない」という葛藤も生まれる。

 例えば、その人がコンプレックスを抱えていて、意図的に「ネット人格」を作り上げていた場合だ。

 ある意味でオンラインゲームほど、現実逃避に適した場所はない。仮想世界で、現実離れしたキャラクター同士が接する、顔の見えないコミュニケーションは、「見たくない現実から逃げて、別人になりたい」という願いを容易に叶えてくれる。

 コンプレックスを抱えていても、相手に悟られずに済む。自分の操るキャラクターを通じて、「強さ」も「美しさ」も「若さ」も演出できるのだから、ゲーム世界では劣等感で落ち込むこともなく、のびのびと過ごせる。

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