「「跡取り娘」の経営戦略」

中越地震が社員の絆を強めた、新潟の海産物卸会社

魚沼冷蔵4代目社長 小田島美智子さん

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2009年8月26日(水)

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 ほどよく脂が乗り、絶妙な塩加減のシャケは、日本の朝食の定番。「あたたかいご飯に乗せて頬張ると、自然に食欲が沸いてくる」と言う人も多いはずだ。

 そんなシャケの中でも、美食家たちが「最高の味」と絶賛するのが、新潟県小千谷市に本社を置く海産物卸会社、魚沼冷蔵が自社ブランドで販売する「甘塩サーモン」だ。

 最高級のチリ産サーモンの切り身に吟味した自然塩の焼塩をすりこみ、真空パックにしたもの。様々な工夫で格別のおいしさを実現し、派手な広告宣伝は一切ないが、口コミで全国に評判が広がった。

魚沼冷蔵社長の小田島美智子(写真:山田 愼二、以下同)

 「素材の質や鮮度はもちろん、切り分け方から調味、包装方法まで、あらゆることにこだわらなければ、お客様に喜んでいただける商品はつくれないんです」。魚沼冷蔵の社長、小田島美智子は明るい笑顔でこう話す。

 例えば「甘塩サーモン」では、最高級のシャケの頭から約3分の2の上質な部分だけを使用。焼いた後、脂が抜け落ちないように、普通の切り身より微妙に厚みを持たせている。機械を使わずベテランの職人が手作業で切り身に切り分け、真空パックにして箱詰めしていくのもこだわりの一つだ。

 「機械化を試みたこともありましたが、すぐに手作業に戻しました。当社では、真空パックにした後、包装の上から中の切り身の形や位置を手で整えています。こうすると、見た目は美しくなるし、異物混入やピンホール(骨で袋に穴が空いてしまう状態)が見つけやすい。それに何より手作業の方がおいしいものができるんです。きっと、作り手の想いのようなものが伝わるからじゃないかしら」

甘塩サーモンを始めとした品々。工程のほとんどが手作業だ
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 同社では、シャケ以外の魚の切り身や総菜などの食品も製造しており、「吉雪」というブランドでシリーズ化している。注文の6割は県外からの注文で、料理研究家など著名人のファンも多い。

 海産物卸に限らず中間流通業者は全国的に衰退しつつあり、魚沼冷蔵も本業の年商はピークの半分以下である約6億円に減少した。そんな中で「吉雪」部門だけは年々着実に業績を伸ばしており、直近の売上高は1億2000万円を達成。同社の“希望の光”となっている。

 「『吉雪』を手掛けていなければ、今ごろ会社はもっと厳しい状況になっていたと思う。それに、私自身、経営者としてここまで頑張れなかったかもしれない」

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著者プロフィール

荻島 央江(おぎしま・ひさえ)

ライター、エディター。埼玉県生まれ。食品販売会社在職中に、映画紹介・評論記事の執筆活動を始める。2002年からフリーランスとなり、情報誌や女性誌などで取材・執筆を手掛ける。現在はビジネス誌を中心に活動しており、「日経トップリーダー」や「日経メディカルオンライン」などで執筆。主に、著名経営者の密着ルポや中小企業の経営分析に携わる。



このコラムについて

「跡取り娘」の経営戦略

 以前は、長男や娘の婿が家業を継ぐのが常識だった。しかし最近では、娘が自ら家業を継ぐケースが増えている。このコラムでは、こうした「跡取り娘」たちの経営戦略をインタビューする。 女性リーダーのための記事は「NBonline Women at Work」へ。

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