日本企業の強さの源泉はミドルマネジメントにあるとはよく言われるところ。そうした期待の裏返しか、ミドルに対して厳しい見方をする経営トップは多い。「うちの課長たちには闘争心がない」「新しいことに挑戦してほしいのに、ルーチンワークを回すだけで満足している」。特に改革意欲の高いトップの場合、ミドルの動きの遅さにもどかしさを感じがちだ。
トップとミドルの温度差を埋め、ミドルの行動や意識を変えるうえで有効な手法の1つがモチベーションを見える化することだ。当社が提供する「やる気」分析システムMSQでは、「自己表現」「業務遂行」「人間関係」など9つのモチベーション要因を定義し、アセスメントを通じてその人が何に強いモチベーションを感じるかを推定していく(図)。関心度と満足度の2軸にそれぞれのモチベーション要因をプロットし、双方が高いものがその人にとって強いモチベーション要因になると見なす。

個々の社員の人材育成やキャリア開発に活用できるほか、組織全体の傾向を割り出してモチベーションの底上げに生かすこともできる。例えば「自己表現」や「業務遂行」がモチベーションを牽引している組織では、各社員のアイデアや個性を活かす場を与えたり、目標を達成する経験を積ませる仕組みを作り込んだりするといった具合だ。
人間関係重視で闘争心に欠ける
モチベーション要因を見える化して底上げを図った例として、米国に本社を持つ医療機器メーカーの日本法人を紹介しよう。同社は20年以上前に日本企業を買収して日本での事業を開始した。営業部門のトップを務めるK事業部長は、別のグローバル企業での勤務経験があったが、今の会社の温和な気風に違和感を覚えることもあったという。社内の人間関係が良好なのは良いことだが、営業の観点からいえば、闘争心や「アグレッシブさ」に欠けているように思えたのだ。米国本社で開催される営業会議では、日本法人の動きの遅さが指摘されることが多く、国内市場のシェアも相対的に低かった。
K事業部長はてこ入れの鍵は課長層にあると考え、現状を把握して打開策を検討するために、「やる気」分析システムMSQを使って課長120人のモチベーションを調査した。その結果明らかになったのは、モチベーションの第1の促進要因が「人間関係」や「期待・評価」であることだった。
「職場でまわりとの関係が良いこと」「期待され、評価されること」がモチベーションを支えるこのタイプは、日本企業では最も多く見られる。バランス感覚がある一方で、突出したアイデアを出したり、周囲との関係を省みずに変革を推し進めたりといった行動が生まれにくい。
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1993年、株式会社JTBモチベーションズ創立時に入社。以来、ワーク・モチベーション(仕事意欲)の調査、研究、コンサルティングに携わる。「やる気」分析システムMSQ、各種モチベーション向上研修プログラムなどの商品を開発し、モチベーションとキャリア開発の視点から、個人と組織の活性化を提案している。







