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幻滅、圧迫、焦燥…「中年期の危機」

正常でも80%が体験、はたと立ち止まったその時に

  • 太田 由紀子,日本産業カウンセラー協会(監修)

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2011年12月8日(木)

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 「うつ病と診断されたBさんという社員がいるので、カウンセリングしてほしい」と、産業カウンセラーIさんへ依頼があった。当時、Bさんは42歳の男性で既婚。妻、子供2人の4人家族だった。

 転職して10年が経つBさんの仕事は順調だった。家族は皆、元気で明るい。学生時代から体育会系だったBさんの趣味はマラソンで、休日は必ず走っていた。走るのはとても楽しい。いつもそう言っていた。

 地方都市に転勤する辞令が出たため、家族全員で引っ越しをした。行った先はとても環境が良いところで、子供たちものびのびと生活ができた。ライフスタイルは何も変わらなかったと言える。

 上司は年下だが、仕事上、特に問題はない。Bさん自身も管理職で、仕事の範囲が少し広がった。栄転だから当然のことだ。年齢を重ねたことで、責任を持つ範囲も広がったのだと理解した。

突然のうつ病宣告

 前の会社では10年間、現場でバリバリ働いていた。キャリアアップのため転職を決意したが、この会社に移ってから、もう10年も経った。自分も管理職になったし、会社に特に不満はない。

 欠勤、遅刻、早退などしたことがない。もちろん前の会社でもそうだったから、20年間ずっとだ。会社を休むなんて考えられなし、欠勤なんて自分に負けることだと思う。部下や上司との飲み会やランチもすべて付き合う。管理職なのだから人間関係は大切にしたい。自分の愚痴は言わない。年上の人間として弱音など吐けないと思っている。

 しかし最近、疲れが取れない。頑張らなければと思えば思うほど気力が湧かない。年下の上司から身体の心配をされた。部下の心配をしたことはあるが、自分が心配されたことに驚いた。

 ある日、年下の上司から、病院に行くよう勧められた。上司の指示だから断るわけにもいかず、病院に行ってみると、うつ病と診断された。

 抗うつ剤が処方され、薬を飲み始めた。上司には報告したが、部下には内緒にしてもらった。薬を飲んでいることを知られるのに抵抗があったからだ。上司からは休暇を取ることも勧められたが、それは断った。

 会社を休みたくない。
 飲み会やランチの誘い、部下や上司との付き合いも変えなかった。
 休日のマラソンも欠かさなかった。…でも走っても楽しくなかった。

「人生の午後」「思秋期」に

 産業カウンセラーIさんは、Bさんとの出会いをこう振り返る。

 「憔悴しきった表情でした。体格がとてもいいスポーツマンタイプの方でした。お話をうかがうと、特に会社に不満はなく、自分を責めている印象が強かったですね」

 イライラして家族にあたってしまう。妻や子供は被害者だ。こんな父親、いない方がいいんじゃないかと考えた。でも、そんなことを考えている自分も嫌だ。

 仕事は好きだ。でも、会社は自分を必要としているのだろうか。疎外感を感じる。会社を休むと自分の居場所がなくなる気がして怖い。上司は年下だから、不安や心情を言えない。負担になりたくない。

 自分だって一応、管理職なのだから、規則正しく、強く、頼りがいのある人間であらねばならない。今まで通りの自分でいたい。生活を変えたくない…。

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牛島 信 弁護士