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苦節10年、「焼肉ダイエット」への道

焼肉にイノベーションは可能か

2011年12月2日(金)

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 「焼肉ダイエット」。この言葉を聞いてどう思われますか。そう、「焼肉を食べてダイエットをしよう」という意味です。

 疑問が次々に出てくるのではないでしょうか。まず、それはいったいどんなものなのか。どこかで提供されているのだろうか。焼肉を食べて本当にダイエットができるのか。そもそも、だれが、なぜそんなものを考案したのか。

 私も全く同じ疑問を持ちました。焼肉ダイエットに出会ったきっかけは、ある人から入った「面白い店が京都にありますよ」という連絡でした。焼肉店が“見どころ”を作るために参考になる例はないだろうかと思っていたら、その人が教えてくれたのです。

 逆風下にある焼肉店が復活するには、店舗ごとに見どころがあるとよい、という話を前回書きました。焼肉をみんなで盛り上げようという趣旨で本連載を書き、読者の皆様のご意見やアイデアをソーシャルメディア経由でいただいています。皆さんのアイデアをいただきつつ、取材を進めており、“見どころ”の話がでてきました。

 焼肉ダイエットなるものが成立するなら確かに見どころでしょう。たくさんの疑問が頭に浮かぶ中、直接話を聞こうということでその店がある京都・北山に向かいました。

 趣のある古民家を改装した80席のお店に、宴会に使える80席の別棟のある焼肉店「南山」です。そこで出迎えてもらったのが「優しいお母さん」といった印象の店主、楠本貞愛さんでした。

焼肉店「南山」の楠本貞愛さん

 焼肉ダイエットのオリジナルメニューを確かに用意しているそうです。早速、話を聞き始めたところ、目の前にたたずむ優しい笑顔の持ち主が大変な逆境をくぐりぬけてきた人物だということが分かりました。

 焼肉店が試行錯誤を経て、斬新なオリジナルメニューの開発に至るストーリーを紹介します。

借金18億円からのスタート

 楠本さんの父親が創業した焼肉店は高度成長の波に乗り、ピーク時には30店舗まで拡大したものの、バブル崩壊で事業は急転直下、あっという間に経営破たんしてしまいました。債務整理を進める役割として楠本さんが後を継いだのは10年前、2001年8月のことでした。その時、借金は18億円あったそうです。

 その直後、9月に起きたBSE問題で商売はさらに打撃を受けます。もともと腹をくくって始めていたものの、きつかった。ただ、「やめろと言われるまでやるしかない」とだけ考えていたと振り返ります。

 「でも」と言いかけて、テーブルにあった焼肉メニューに一瞬目をやり、一呼吸置いてからまた話し始めました。

 「どん底でしたけど、焼肉をお腹いっぱい食べると不思議と幸せな気分になるんですよね。仕事もあるし、それだけでも幸せだと」。

 子供たちのこともありました。6人の子どもたちに1日1日、とにかく食べさせることを考える。その生活がちょっとでも上向けばいいと思っていたそうです。

 BSE問題は外食産業全体に大きな影響を与え、閉店し廃業する店も多かった。そんな中で、何とか続いていた南山は特別融資を受けられることになります。

 まず取りかかったのが店内の改装でした。築200年の古民家を移築してスタートした40年前は「農家レストラン」という物珍しさもあって開店直後からにぎわいをみせました。しかし時を経て、経営破たんを経験したかつての人気店は「あまりにもひどい状態」になっていました。

 そしてようやくの思いで改装を終えました。ところが、です。そこに待っていたのはお客さんからの非難の声でした。

 「なんや、安もんの肉か」

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「苦節10年、「焼肉ダイエット」への道」の著者

鶴野 充茂

鶴野 充茂(つるの・みつしげ)

ビーンスター株式会社 代表取締役

コミュニケーションの専門家として幅広く活躍。リーダーに効果的な伝え方をアドバイスするほか、全国規模のPRプロジェクトに携わる。著書は30万部超のベストセラー「頭のいい説明すぐできるコツ」など二十数冊。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官