• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

自殺未遂に追い込んだパワハラ

上司と顧客、恐怖の板挟みで陥ったうつ状態の末に

  • 太田 由紀子,日本産業カウンセラー協会(監修)

バックナンバー

2011年12月15日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 パワーハラスメントは、被害を与えている人が、受けている人のダメージに気づかないことが多い。人間性を否定するような言葉を投げつけ、パワハラに気づかずにいる人間は許されるのだろうか。

 産業カウンセラーFさんとクライエントCさんのケースをご紹介しよう。

 「私はダメな人間です」
 産業カウンセラーFさんのもとへ、奥さんに手をひかれてやって来たCさんは、こうつぶやいた。自殺未遂を起こしたすぐ後のことだった。

 Cさんは35歳の会社員。既婚で妻と2人暮らし、大手企業でクレーム処理係をしている。Cさんは、悩みを抱えていた。ある顧客のクレーム処理がうまくいかないのだ。

 苦情のきっかけを作ったのはCさんの連絡ミスだった。すべてではないがお客の言うことも正しいし、自分のミスのことも考え合わせると、お客に真っ向、反論もできないという状況だった。お客は「おたくの会社を訴える」と脅すようになっていた。

 Cさんの上司は、部下に「報・連・相(報告、連絡、相談)を忘れるな」と言っている。だが、Cさんに対してはいつも高圧的に叱るので、自分のミスが発端となったこのお客のクレームの件は、怖くて報告ができなかった。

もう、自分が死ぬしかない…

 ある日、その顧客から厳しく叱責されたCさんは、相手を殺したいと思った。しかし、この思いは誰にも言えない。上司にも同僚にも家族に言えない。自分が死ぬしかないと考え、自殺することを思い立った。

 翌日会社を休み、車に乗って死に場所を探した。高速道路に乗り、実家近くのホームセンターで自殺のための道具を購入。車を河川敷に停めると、その中で睡眠薬を飲み、練炭自殺を試みた。

 Cさんは、奥さんが出した捜索願いによって、運良く警察に保護された。

 奥さんからの緊急連絡を受けた産業カウンセラーFさんは、知り合い(リファー先)の精神科医に緊急診療を依頼し、Cさんと奥さん同伴で受診することを勧め、その後に対面のカウンセリングを行う段取りをした。もちろん、精神科医との連絡を取り合いながらのカウンセリングとなる。

 Fさんは、Cさんとの出会いをこのように振り返る。

 「Cさんは入室時、まったく生気がなく顔色も青白く沈んだ感じでした。とても緊張状態でもありました。話を始めると、今まで誰にも言えなかった思いがあふれ出したようで、一気に話を始めました」

 Cさんが、一番多く話した内容は、上司の話だったそうだ。

「おまえはダメだ」と罵倒されて

 産業カウンセラーFさんとのカウンセリングの中で、Cさんが話した上司の発言は次のようなものだ。

 「おまえは、いつも報・連・相ができていないのでダメだ」
 「おまえはプライドが高い。もっと俺の言うことを聞け」
 「おまえのような腐った血は排除し、新しい血と入れ替えたい」

 高圧的で辛辣な言葉が並ぶ。日々このように「おまえはダメだ」と言われ続けたCさんは、上司に何も言えなくなっていった。この状態は、さらに上司への報・連・相ができなくなる悪循環を招き、さらに上司から厳しく叱責された。

コメント9

「メンタルリスク最前線」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

面倒くさいことを愚直に続ける努力こそが、 他社との差別化につながる。

羽鳥 由宇介 IDOM社長