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自殺未遂に追い込んだパワハラ

上司と顧客、恐怖の板挟みで陥ったうつ状態の末に

  • 太田 由紀子,日本産業カウンセラー協会(監修)

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2011年12月15日(木)

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 パワーハラスメントは、被害を与えている人が、受けている人のダメージに気づかないことが多い。人間性を否定するような言葉を投げつけ、パワハラに気づかずにいる人間は許されるのだろうか。

 産業カウンセラーFさんとクライエントCさんのケースをご紹介しよう。

 「私はダメな人間です」
 産業カウンセラーFさんのもとへ、奥さんに手をひかれてやって来たCさんは、こうつぶやいた。自殺未遂を起こしたすぐ後のことだった。

 Cさんは35歳の会社員。既婚で妻と2人暮らし、大手企業でクレーム処理係をしている。Cさんは、悩みを抱えていた。ある顧客のクレーム処理がうまくいかないのだ。

 苦情のきっかけを作ったのはCさんの連絡ミスだった。すべてではないがお客の言うことも正しいし、自分のミスのことも考え合わせると、お客に真っ向、反論もできないという状況だった。お客は「おたくの会社を訴える」と脅すようになっていた。

 Cさんの上司は、部下に「報・連・相(報告、連絡、相談)を忘れるな」と言っている。だが、Cさんに対してはいつも高圧的に叱るので、自分のミスが発端となったこのお客のクレームの件は、怖くて報告ができなかった。

もう、自分が死ぬしかない…

 ある日、その顧客から厳しく叱責されたCさんは、相手を殺したいと思った。しかし、この思いは誰にも言えない。上司にも同僚にも家族に言えない。自分が死ぬしかないと考え、自殺することを思い立った。

 翌日会社を休み、車に乗って死に場所を探した。高速道路に乗り、実家近くのホームセンターで自殺のための道具を購入。車を河川敷に停めると、その中で睡眠薬を飲み、練炭自殺を試みた。

 Cさんは、奥さんが出した捜索願いによって、運良く警察に保護された。

 奥さんからの緊急連絡を受けた産業カウンセラーFさんは、知り合い(リファー先)の精神科医に緊急診療を依頼し、Cさんと奥さん同伴で受診することを勧め、その後に対面のカウンセリングを行う段取りをした。もちろん、精神科医との連絡を取り合いながらのカウンセリングとなる。

 Fさんは、Cさんとの出会いをこのように振り返る。

 「Cさんは入室時、まったく生気がなく顔色も青白く沈んだ感じでした。とても緊張状態でもありました。話を始めると、今まで誰にも言えなかった思いがあふれ出したようで、一気に話を始めました」

 Cさんが、一番多く話した内容は、上司の話だったそうだ。

「おまえはダメだ」と罵倒されて

 産業カウンセラーFさんとのカウンセリングの中で、Cさんが話した上司の発言は次のようなものだ。

 「おまえは、いつも報・連・相ができていないのでダメだ」
 「おまえはプライドが高い。もっと俺の言うことを聞け」
 「おまえのような腐った血は排除し、新しい血と入れ替えたい」

 高圧的で辛辣な言葉が並ぶ。日々このように「おまえはダメだ」と言われ続けたCさんは、上司に何も言えなくなっていった。この状態は、さらに上司への報・連・相ができなくなる悪循環を招き、さらに上司から厳しく叱責された。

コメント9件コメント/レビュー

パワハラをしてはいけないと思っているが、正直なところ最近危ういところにきているのを自覚している。何度注意しても改善しない人に対し、「○回目ですよ」とつい言ってしまう。彼のミスに対応をしてばかりで、自分の本来の仕事に支障をきたし、残業が続くし、私自身の健康にも害がでてきた。こちらもぎりぎりの状態で仕事をしているのに、と恨めしく思ってしまう。彼に関わっている間、他の人も指示待ちでいらだっていることもある。(2011/12/20)

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いただいたコメント

パワハラをしてはいけないと思っているが、正直なところ最近危ういところにきているのを自覚している。何度注意しても改善しない人に対し、「○回目ですよ」とつい言ってしまう。彼のミスに対応をしてばかりで、自分の本来の仕事に支障をきたし、残業が続くし、私自身の健康にも害がでてきた。こちらもぎりぎりの状態で仕事をしているのに、と恨めしく思ってしまう。彼に関わっている間、他の人も指示待ちでいらだっていることもある。(2011/12/20)

日本では、話をしたら、よけいに状況が悪くなるってパターンの組織の方が多いんじゃ? この産業カウンセラーはダメですな。。。一個人相手のカウンセリングならいいんでしょうなぁ。組織がどういうものかも知らないで、身近な人に話をしてみろ、なんて、ヘンな助言しなさんな。(2011/12/19)

体育会系の親分肌。。。このタイプは案外ゴマ擂りがうまくて、上に取り入るのがうまく、派閥を作るのが得意です。でも、基本的には単細胞な子供っぽい奴が多く、人の好き嫌いが激しくて明らかに人の役職とか、自分への利益貢献度によって対応を換える。そもそもマネージャーの資質が無いタイプというが私の感想ですね。でも、経営層からすればアホだから自分のミスにそもそも気付かないし、基本的には明るいのでムードメーカーになりやすい為、使いやすいタイプでもある。コラムを見た感じでは、明らかにCさんは苛められていたんでしょうね。他の部下も自分が苛められない為に、Cさんを庇ってあげたりなんて事は皆無だったんでしょう。それにしても、全部本人のせいだという人事部と産業保険医の見解は酷いですね。(2011/12/16)

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