「ニュースで読みとく英語のツボ」

「アメリカには負け組がいない?」

反格差運動を伝える英語表現

バックナンバー

2012年2月1日(水)

1/3ページ

印刷ページ

 米タイム誌が選んだ2011年の“Person of the Year”は“The Protester(抗議する人)”だった。中東の「アラブの春」や、ギリシャやスペインなどでの民衆デモに触発され、米国では昨秋以降“Occupy”運動が広がっている。今回はこの「Occupy Wall Street」運動、日本では反格差運動と伝えられる動きに関連する表現に注目したい。

 そもそもoccupyにはどのような意味があるのだろう。“Occupy Wall Street”が一般的に「ウォール街を占拠せよ」と訳されているとおり、基本的にはある場所を占拠する、ふさぐという意味だ。ただ、筆者が在籍するモントレー国際大学院(MIIS)の英語ネイティブの学生に聞いたところ、「物理的に場所をふさぐだけでなく、take control(支配権を握る)という意味もある」と解説してくれた。

 つまり“Occupy Wall Street”は、単に大勢の抗議者でウォール街を埋め尽くそうと言っているのではなく、カネの力で米国の政治を思うままに動かすウォール街を、自分たち民衆の支配下に置こうという訴えでもあるのだ。

 Occupy運動は、日本のメディアでは「格差抗議デモ」と表記されることが多い。実際、二ューヨーク・タイムズなど米主要紙の記事では「格差」を意味するinequality/ gap/ disparityといった表現をよく目にする。では、この3つの言葉には、どのような違いがあるのだろうか。

「数値」の差か「認識」の差か

 MIISの学生数人に議論してもらったところ「gapというと数値で測れるような物理的な差があると言っている印象。一方のinequalityは平等ではないという『認識』を示している印象」という声が挙がった。gapは「格差がある」という事実を淡々と指摘する言葉であるのに対し、inequalityは格差があり、それが不公平だという価値判断を含んでいるというわけだ。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント5 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

土方 奈美(ひじかた・なみ)

翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。1995年日本経済新聞社入社。記者として活躍、日経BP社に出向して『日経ビジネス』の記者も務める。
2008年日本経済新聞社を退社。米国公認会計士、ファイナンシャルプランナーの資格を保有し、経済・金融分野を中心に翻訳家として活躍。
翻訳書は、『グリーン・ニューディール』(東洋経済新報社、2009年)、『愚者の黄金――大暴走を生んだ金融技術』(日本経済出版社、2009年、共訳)、『グーグル秘録』(文藝春秋、2010年)、『ウォールストリートジャーナル陥落の内幕』(プレジデント社、2011年)など多数。



このコラムについて

ニュースで読みとく英語のツボ

ニュースを伝える英語は、英語圏の文化や発想、時代の空気を映す鏡だ。英語ニュースで使われている表現の中から、日本にいるとなかなかニュアンスが理解しにくい表現や単語などを素材に、生きた英語の「ツボ」を紹介する。筆者は、米モントレー国際大学院の翻訳コースに留学中のプロ翻訳者。筆者が師事するプロ翻訳家の英語ネイティブ教員やクラスメート達にも取材しながら、丁寧に読み解いていく。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン