東日本大震災と大津波を受けて、東京電力福島第1原子力発電所で深刻な事態が持ち上がっていることが発覚して間もない昨年3月17日。米ニューヨーク・タイムズ紙の1面(A1面)にこんな見出しが躍った。
In Tokyo, a Dearth of Candor
candorを辞書で引くと「率直・正直」とある。dearthは「不足・欠如」だから、「東京には率直さ・正直さが欠けている」と言っているわけだ。こういう場合によく使われるtransparency(透明性)と今回のcandorはどう違うのか、探ってみた。
単語に込められた「隠ぺい」批判
筆者が在籍するモントレー国際大学院(MIIS)でともに翻訳・通訳を学ぶ学生に尋ねたところ「dearth of transparencyというと単に透明性が欠けているという事実、dearth of candorというとそれが意図的であるという印象」と説明してくれた。「嘘をついている」とまでは言わないが、「知っていることをすべて語っていない」というニュアンスだという。つまり、ニューヨーク・タイムズ紙の見出しには、東京電力(および日本の当局)が意図的に情報を隠している、という批判が込められていたのだ(蛇足になるが、transparencyが通常大きな組織について使われるのに対し、candorは個人の姿勢についても使える)。
記事の本文にも、東京電力や当局の曖昧な説明姿勢を批判する表現が目立った。
a typically opaque, and understated, explanation
(お決まりの曖昧で不十分な説明)
withholding or fudging crucial information
(重大な情報の公表を控える、もしくはごまかしている)
evasive news conferences followed uninformative briefings
(中身のない記者説明会に次ぐはっきりとしない記者会見)
ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。




からのご案内




