2012年2月1日、ソニーがCEO(最高経営責任者)の交代を発表した。12年3月期まで4期連続の最終赤字という事態を受けて、7年間同社のトップを務めた米国人のハワード・ストリンガー氏は退くことになった。
ストリンガー氏の退任を、CNNやウォール・ストリート・ジャーナルは“step down”という言葉で表現していた。
筆者が在学中のモントレー国際大学院(MIIS)で、共に通訳・翻訳を学ぶ英語ネイティブの学生に確認したところ、step downは辞めさせられたのではなく、本人の意思で辞めたことを表す言葉だという。とはいえasked/ forced to step down といった形で使われることも多いので、「周囲からの圧力があったのかな、とも思う」と答えた学生は多かった。続投を希望していたとされるストリンガー氏の不本意な退任のニュアンスを、step downはうまく伝えていると言える。
日本の「ブルーチップ企業」における数少ない外国人経営者として期待されながら、ソニーを改革・再生することができなかったストリンガー氏。敗因はいろいろありそうだが、やはり言葉の壁が大きかったのではないだろうか。そう思わせる背景が、米紙の報道などから読み取れる。
言葉の巧みさが強みだったストリンガー氏
トップ交代が発表された直後のウォール・ストリート・ジャーナルの記事をいくつか見ると、jovial, boisterous and charismatic, eloquentなどストリンガー氏の人となりを語るキーワードがいくつか出てくる。(2012年2月2日付“Bad Luck Swamped Successes During Stringer's Sony Tenure”などを参照)
MIISの学生たちによると、jovialはよく大きな声で笑ったり、ジョークを飛ばしたりして、周囲を楽しい雰囲気にする人に使う言葉だという。「恰幅の良い人を連想する。例えて言えばサンタクロースのイメージ」という声もあった。boisterousは声の大きいおしゃべりな人、eloquentは流暢に話し弁が立つ、の意味だ。
ウィットのきいた短いジョークや皮肉を意味するquipが得意だ、という記述もあった。1997年にソニー米国法人の社長職を打診された時には、場所がエビの踊り食いを出すレストランだったため「仕事を引き受けようか、エビをお助けしようか、迷っちゃったよ(didn’t know whether to take the job or save the shrimp)」と語った、というエピソードも紹介されている。
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