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上海最大の関心事はやはり不動産

  • 姫田 小夏

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2012年4月24日(火)

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 上海の今最もホットな話題、それは何と言っても住宅価格にある。中央政府による住宅価格抑制の調整策により市場は模様眺めに一転、「今後再び上がるのか」「それとも下落が進むのか」といった見通しが立たない状況となっている。

 価格抑制策のひとつである「限購令(xiangouling)」の導入で、上海を含む大都市では住宅価格は下落傾向にある。だが下落の程度は立地や物件によりまちまち、上海では表向き2割程度にとどまっている。過去日本が経験したような「不動産バブル、一気に崩壊」という状況にはない。

 この「限購令」がいつ解禁されるのかは不動産業界や関連業界のみならず、中国全体にとって大きな関心事だ。中国では住宅分譲の販売が経済にもたらす効果は大きいためだ。09年、分譲住宅販売だけで約4兆4000億元と同年のGDP33兆5353億元の、実に13%を占める結果となった。もしこのまま厳しい価格抑制策を続ければ、中国経済はさらなる減速を深めることにもなってしまう。まさにこの「限購令」は、押すに押せない、引くに引けないという手綱さばきの難しい局面に置かれている。

遅きに失した保障性住宅

 上海の、「老百姓」といわれる一般庶民もこの価格抑制策をじっと見守る。だが、今のところは住宅価格の下落幅を「まだまだ足りない」と冷ややかに受け止めている。激しい住宅バブルにより上海の住宅価格は過去10年に10倍以上になったところもあり、実需層の間では「一生働いても購入できない」の不満が募る。「住宅が買えない」は一世一代の大問題であり、安定政権を維持するにはこれへのガス抜きが不可欠だ。低収入層を含む実需層を満足させる保障性住宅の普及は、今、国家の命運をも賭けた大問題となっている。

 目下、この問題は今年2月の政治協商会議でもクローズアップされた火急の課題だが、実はこれが抱える矛盾点も多い。購入資格において指摘される矛盾は少なくなく、「本当に欲しいと思う実需層」に届かない状況だ。それどころか、ここでもまた「人脈を持つ人間」の懐を肥やすことにもなっている。なぜか経済適用房(保障性住宅のひとつ)といわれる住宅の駐車場にはベンツ、BMWがパーキングされている。

 日本における住宅普及は、公団や営団による低価格住宅の普及政策は賃貸住宅から始まり、収入の上昇によって「住み替え」を繰り返す段階的な発展を遂げたが、中国の場合は異なる。「住宅購入ブーム」が一気に始まり、外地からの投機マネーと「乗り遅れまい」と焦る購入者心理が絡み合って、たった10年の間に「行くところまで行ってしまった」その頂点から、ようやく「市民向けの住宅政策」が始まるのだ。

 視点を変えれば、2000年直後から始まった「住宅購入ブーム」はいわゆる政府からの「家の問題は中央政府ノータッチ、個人で買って解決せよ」というメッセージを含んでいた、と解釈することができる。そのため、保障性住宅の政策は2000年代に入ると顧みられなくなった。政府、企業、国民ともに目の前で膨らむ住宅バブルにくぎづけとなってしまった。保障性住宅は、さんざん投機マネーでつり上げた後のいわば「後付け策」で、普及にスピードが出せないでいるのもそのためだ。

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